2007年春CCS特集:科学技術振興機構

化学物質DB着々と機能強化、“用途”での検索可能に

 2007.06.28−科学技術振興機構(JST)は、国内最大級の245万件の化学物質データを収録した無料のオンラインサービス「日化辞Web」を運営、利用者を着々と増やしている。昨年12月にはバージョンアップを実施しており、さらに使いやすく機能が豊富になった。

 日化辞Webは、当初は「日本語化合物辞書」として、ハンドブックや教科書などのデータソースや国内の主要研究機関が作成した専門データベース(DB)に登録された化学物質情報を収録していたもの。現在では、化審法や安衛法に基づいて公示された物質や、JSTが作成・提供する文献DBである「JSTPlus」(科学技術文献ファイル)や「JMEDPlus」(国内医学文献ファイル)に新たに出現する物質も含め、年間14万のペースで新規化合物を登録・蓄積している。

 JST文献DB提供サービスの「JDream II」との間でリンクが設定されているため、文献を調べていてその物質の情報を詳しく知りたい場合は、文献の中の化学物質をクリックするだけで日化辞Webの詳細データを閲覧することが可能。これとは逆に、日化辞Web側からJDream IIにリンクすることも、将来的には考えられる。

 さて、昨年12月の機能強化では、海外からの利用を考慮して英語モードがサポートされたほか、詳細情報の「用途」欄を対象にした検索も可能になった。例えば、「植物and阻害剤」で検索すると、「植物成長阻害剤」に使用される化学物質が参照できる。また、構造検索が高速になり、従来の3分の1の時間で結果が得られるようになった。

 利用者層も広がり、日化辞Webが化学物質に関連する各種情報への窓口としての役割を果たすことについても期待が寄せられているという。