FQSが経皮吸収予測ソフトSKIN-CADの最新バージョン5.1発売

化粧品向けなどシミュレーションモデル追加、データ解析機能も強化

 2007.06.30−富士通九州システムエンジニアリング(FQS)は、バイオコム・システムズ(本社・福岡県飯塚市、森大輔代表)が開発した薬物経皮吸収シミュレーションソフト「SKIN-CAD」の最新バージョン5.1を販売開始した。皮膚透過量や血中濃度の変化を予測することができ、臨床性能予測や投与計画といった経皮吸収型製剤の最適化に利用することが可能。今回の最新版は、医薬だけでなく化粧品などのスキンケア分野にも対応できるようになった。ソフト価格は、企業向け157万5,000円、大学・官公庁向け52万5,000円。

 開発元のバイオコム・システムズは、九州工業大学発のバイオIT(情報技術)ベンダー。SKIN-CADは同大学の東條角治教授の監修のもとに製品化されているもので、2000年ごろより外販が行われている。

 今回の最新版5.1では、2つのシミュレーションモデルと実測データ解析機能が追加され、応用領域が大きく広がっている。

 まず、新機能として追加されたのが製剤コンパートメントモデル。これは、体内の組織あるいは製剤を薬物濃度が均一なコンパートメント(区画)として取り扱う速度論モデルで、製剤からの成分放出挙動を解析することが可能。とくに、化粧品のローションのような溶液系製剤における皮膚透過性を簡単に予測することができる。

 もう1つは溶解律速放出モデル。薬物が分散状態で含有されているマトリクス製剤について、これまでのバージョンでは薬物の結晶が溶解する速度を十分に大きいと仮定して無視していたが、結晶がマトリクス内で溶解する過程を考慮しながら、皮膚透過性を予測することができるようになった。

 また、SKIN-CADは、血中濃度の変化からADME(吸収・分布・代謝・排出)関連のPKパラメーターを算出する機能を持っている。これまでは対応剤形として急速静注だけを扱っていたが、今回から点滴静注と経口投与にも対応できるように機能強化された。

 さらに、経皮投与後の血中濃度推移と急速静注後のPKパラメーター(薬物消失速度を示す)から薬物の体内吸収速度を算出するデコンボリューション法を利用して、薬物の吸収率を予測することができる。インビボ(生体内)とインビトロ(試験管内)との相関を調べる際などに有効だという。

 Windowsパソコンで手軽に使用でき、わかりやすいGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を備えていることも特徴。