ノーザンサイエンスコンサルティングが自社開発パッケージの第1弾

各種測定・実験データを統合管理、データ間の比較検討が容易

 2007.05.29−ノーザンサイエンスコンサルティング(NSC)は、パッケージソフトウエアの自社開発に本格的に取り組み、研究の中で発生あるいは利用する多種多様なデータを効率良く統合管理するためのシステムを開発していくことにした。第一弾として、製剤化に向けた研究過程で得られる各種スペクトルデータ・画像データなどを扱う「ChartSpect」を製品化した。メーカーや種類を問わず、分析データを一元的に管理・共有し、検索・比較対照などしてデータ活用を推進することが可能。今後も引き続き、自社製品のラインアップを広げていく。

 NSCは、2004年3月に設立されたベンダー。米シミュレーションズプラスの薬物動態、リード化合物探索、物性予測などのソフト販売、欧米の受託試験機関の窓口業務などを行ってきているが、国内の化学・生物学などの研究者に役立つ小回りの利いたソフトを開発し、低価格で提供できるようになることも、以前からの目標として掲げていた。

 今回の「ChartSpect」はその本格的な第一弾で、データの扱いに悩む研究現場の声にこたえて開発したもの。とくに、製剤研究の過程で結晶多形を調べる際に得られるX線分析や熱分析、ラマンスペクトル、顕微鏡画像などのさまざまな分析データを、測定器の種類やメーカーを問わずにデータベース化することができる。

 具体的には、測定器側で生データをテキスト形式などに変換しておき、ChartSpectでそれを読み込む形になるが、対応可能な測定器の出力形式は順次カバー範囲を広げていく。また、通常のテキストデータや一般的な画像形式、SKCおよびMOLファイル形式の構造データを管理することが可能である。

 データ表示画面をユーザーが自由にレイアウトでき、それぞれの化合物に関する実験データを並べて表示したり、同じ実験条件で測定された化合物のデータだけを抽出表示したりするなど、見やすい配置で表示させることが可能。複数スペクトルデータの重ね合わせ機能もあるため、データ間の比較検討が容易になる。

 データベースエンジンには、オープンソースのPostgreSQLを利用しており、ユーザーアクセス権限のコントロールも自由に行える。ライセンスは、サーバー1台当たりの年間使用権のみ。クライアントはWindowsに対応している。

 一方、同社では自社製品の次なる展開として、世界中の公的機関から提供されている公開データベースの閲覧ソフトをシリーズ化することを検討している。データは入手できても使いやすい閲覧ソフトが付属していないケースが多いためだという。まずは、米食品医薬品局(FDA)のオレンジブック向けの閲覧ソフトを製品化する予定。検索し、データをきれいに表示するほか、PubChemなどへのリンクも可能だという。