プロウスサイエンスが「Integrity」好調で日本・アジア向け戦略を強化

インドなど代理店網拡大へ、日本法人も陣容拡大目指す

 2007.04.27−スペインの医療・医学・創薬情報プロバイダーであるプロウスサイエンスは、日本を中心とするアジア・太平洋地域での事業体制を強化する。昨年3月に日本法人を設立したが、統合創薬情報サービス「Integrity」(インテグリティ)の導入が好調で、初年度に黒字化を達成。アジア諸国からの引き合いも増えてきている。日本法人のプロウスサイエンスジャパンでは、アジア地域の代理店網の拡大に乗り出すとともに、日本法人のスタッフ増員も積極的に進め、さらなる事業拡大を図っていく。

 主力となる「インテグリティ」は、研究者だけでなく新薬開発のプロセス全体を通して、また製薬企業の幅広い職種で利用できる総合情報サービス。豊富な情報が、生理活性物質、創薬ターゲット、有機合成、実験薬理、薬物動態/代謝、臨床試験、疾病の概説、企業・研究所、文献、特許−といった項目ごとに整理され関連付けられている。厳選された約30万件の化合物情報など、コンテンツの豊富さだけでなく、質の高さに定評がある。

 2002年にサービス開始して以来、毎年10数件の機能強化を実施してきており、最近でも検索のための構造式描画ツールとして、ChemDrawに加えて、MDL Draw、ISIS/Draw、Marvinアプレットに対応。今年の7月の更新では、新しい情報項目として「バイオマーカー」が追加される。

 また、医薬品としての作用メカニズムを予測するパッケージソフト「BioEpisteme」(バイオエピステメ、菱化システムを通して販売)の機能が利用できるようになった。パッケージ版との違いとして、予測対象はインテグリティ内の化合物に限られるが、機能的には同じ。可能性の高いメカニズム順にリスト表示したり並べ替えたりすることができるため、2番目以降のメカニズムに注目して新しい開発のヒントにするなどの使い方が可能。ちなみに、顧客の化合物ライブラリーをバイオエピステメで解析する受託サービス(窓口は菱化システム)も今年からはじめたという。

 インテグリティの契約は好調で、顧客の中での利用部門の拡大、単年度から複数年契約へと広がる傾向をみせている。とくに、昨年の日本法人設立を機に、韓国やインドなどからの引き合いも目立って増加。現在、韓国に2社、インドに1社の代理店を設けているが、インド市場はすでにユーザー数が15社に達しているなど急拡大が予想されるため、さらに代理店を増やす方向で現地とのコンタクトを開始している。このほか、シンガポールにも代理店候補がみつかったという。今後は、中国やオセアニアへの展開が課題になる。