2007年秋CCS特集:科学技術振興機構

化学物質リンクセンター構想推進、情報収集の効率が向上

 2007.11.26−科学技術振興機構(JST)は、さまざまな機関で開発された化学物質関連データベース(DB)を相互に接続できるようにする「化学物質リンクセンター」を構想、そのプロトタイプ版を7月から一般公開している。異なる情報を得るために複数のDBにまたがる関連情報があらかじめリンクしているので、他のDBで検索しなおす手間がなくなり、情報収集作業が大幅に効率化する。

 現在、化学物質リンクセンターに参加しているのは、JSTの日本化学物質辞書「日化辞Web」、産業技術総合研究所の有機化合物スペクトルDB「SDBS」、物質・材料研究機構の高分子DB「PoLyInfo」、神奈川県環境科学センターの化学物質安全情報提供システム「Kis-net」、国立医薬品食品衛生研究所の既存化学物質毒性DB「JECDB」の5つ。

 現時点では、日化辞Webから他のDBへの片方向リンクが実現されており、日化辞Web(http://nikkajiweb.jst.go.jp)で化合物を検索すると、その化合物に関する情報が他のDBにも存在する場合、ハイパーリンクが表示されるようになっている。そこをクリックすると、リンク先で再度検索することなく、目当ての情報がダイレクトに得られる仕組みだ。

 サービス開始以来、実際に日化辞Webから実際にリンクがたどられて先方の情報にアクセスされる件数も着実に増えており、利用者側からもかなりの好感触を得ているという。

 今後の課題は、まずは双方向リンクの実現。すでに開発をスタートしているが、どのDBからでも情報を自在に引き出せるようになるため、実用性が大幅に向上すると期待される。また、参画機関の拡大にも取り組んでいく。それにともなって、各DBの収録物質をマッチングさせるための効率的な技術開発も進める予定。年度内には有識者を交えた委員会組織を立ち上げ、将来に向けたリンクセンターの方針を定めていく。