2007年秋CCS特集:菱化システム

先端の材料研究を広範支援、実用物性の解析可能に

 2007.11.26−菱化システムは、ナノテクノロジーや環境関連など、材料設計分野のシステム群が好調。ソフトとハードの両面の進歩により、とくに実用的な物性が計算で得られるようになったためで、ユーザーの材料研究に直接役立つシステムへと発展してきている。

 その1つに、米マテリアルズデザインの「MedeA」がある。金属、セラミックス、半導体などの固体を扱うことのできるシステムだが、格子振動を入れた相安定性など大規模な計算が可能になり、誘電率や熱伝導性など、先端の研究開発で重視される物性を予測することができる。

 また、プロセス化学分野との関連では、独コスモロジックの熱力学物性推算ソフト「COSMOtherm」を、インベンシスのプロセスシミュレーター「PRO II」用の入力に直接つなげることが可能になった。新規で複雑な化合物を対象にしたパイロット段階からのスケールアップ検討などに役立つという。

 米リアクションデザインの「CHEMKIN」も環境分野で注目を集めつつある。化学反応を詳細に解析する機能を利用して、有害物質を生じさせない効率的な燃焼を調べることができるようになったため。CHEMKINに関しては、定期的なトレーニングコースも設けて、ユーザーが十分にシステムを活用できるようにサポートしている。

 一方、ライフサイエンス分野を中心にした製品群では、菱化システムのCCS事業の中核商品でもある加CCGの「MOE」の新バージョンがこのほど出荷開始された。最近は他社の計算エンジンなどとの連携が一段と強化され、標準的な統合プラットホームともなりつつある。CCGの新製品であるたん白質とリガンドの複合体データベース解析システム「PSILO」も年明けには出荷される予定で、期待が高まっている。

 また、同社では新たに半経験的分子軌道法ソフトの最新版「MOPAC2007」の販売権(企業および官公庁向け)を正式に取得した。これも知名度の高い製品で、注目の集まるところ。