日立ソフトが遺伝子検査・解析支援サービス

ビジネス市場向けに提供、ウエットからドライ系まで一貫サービス

 2007.10.30−日立ソフトは、遺伝子実験・検査・解析から情報システムの構築、さらに遺伝子情報の管理・運用までを一貫して提供する「遺伝子検査/解析支援サービス」を実用化し、本格的に提供開始した。遺伝子検査を事業の中に組み込むビジネス市場を主な対象としたい考えで、生活習慣病関連の遺伝子検査などの美容・健康アドバイザー、食の安全・安心を目指す食品対象遺伝子検査企業などにサービスを売り込む。3年後にライフサイエンス事業全体で20億円の売り上げを目指す。

 同社は、バイオ関連でドライ(情報処理技術)とウエット(遺伝子実験解析技術)の両方を兼ね備えたベンダー。社内のウエット系設備を生かして受託サービスを行うもので、昨年に一部の顧客に紹介して需要を得たことから、本格的に外部向けにサービスを開始することにした。それにともない、今回はドライ系の部隊とも連携し、解析結果のデータベース化、データ解析、データ管理・運用までも含めた受託解析業務にとどまらない問題解決型のサービスとして組織化している。

 具体的に、利用者はサンプルを同社に送付するだけで、信頼性および再現性の高い遺伝子解析の結果を迅速に得ることができる。とくに、遺伝子の一塩基多型(SNP)解析を中心とする種々の遺伝子実験/検査を行い、その結果に基づく解析サービスも提供する。遺伝子という個人情報を扱うため、高いセキュリティが要求されるが、同社は公共的な社会インフラの構築経験、「秘文シリーズ」や「静紋シリーズ」などのセキュリティ製品の実績が豊富であるため、安心してサンプルをゆだねられるということだ。

 大学や研究機関などからのスポット的な依頼も受けるが、ビジネスとして遺伝子情報を活用する事業者向けに継続的なサービスを提供することを狙いたいとしている。

 なお、同社のライフサイエンス事業は、DNASISなどのパッケージ製品やシステムインテグレーションを提供するバイオインフォマティクス部門と、マイクロアレイ関連や遺伝子解析のためのハードウエア製品、そして今回の受託サービスを中心とするバイオ解析システム部門−の2つに分かれている。

 ウェット系の受託サービスは、今年3月末に解散した日立製作所・ライフサイエンス推進事業部でも手がけていた事業だが、主に研究機関を相手にしていた。日立ソフトでは、同推進事業部から遺伝子実験関連の装置や技術者の一部を引き受けているようだ。今回のサービスにもそうしたりソースが活用されている模様。