米デルのマイケル・デル会長が会見

新グローバル戦略“ITのシンプル化”を発表、顧客ビジネスの成長を支援

 2007.10.30−米デルのマイケル・デル会長兼CEOが29日、都内で記者会見し、新しいグローバル戦略“ITのシンプル化”(SIMPLIFY IT)構想を発表した。「顧客はITがますます複雑化することを懸念している。顧客のIT投資はおう盛だが、70%は既存のITのためのメンテナンスに費やされている。新しいITに振り向ける配分を多くし、ビジネスの成長や生産性向上のためにもっとITを活用してもらう」(デル会長)ことが狙い。エンドツーエンドのソリューションとし、国内ではパートナー戦略とも絡めて推進していく。

 デル会長は、ソフト、ハード、システムインテグレーションが異なるベンダーから別々に提供されていることに加え、ソフトウエアを利用するアーキテクチャーもそれぞれに異なっていることがITの複雑化を増大させており、ITへの投資がメンテナンスに奪われていることの大きな原因だと指摘。それを踏まえたうえで、“ITのシンプル化”は、ITインフラの標準化・統合化・自動化を推進することで、システムを迅速に配備し、低コストで効率的に運用し、インテリジェンスに発展させることを可能にする。

 このため、サービス事業の体制を拡大するほか、製品・技術面では仮想化への対応を強化する。国内においては、デル日本法人が直接手がける部分と、パートナーシップを中心に展開する部分の両面作戦で事業展開を図っていくとした。

 また、“ITのシンプル化”構想を支援するため、「ITのシンプル化評価ツール」を提供する。オンラインで利用できる無償のサービスで、自分の会社がどの程度の複雑なIT環境に直面しているかを把握できるという。ITライフサイクルのすべてのステージにおける効率性、ITスタックの各階層における管理能力、現在の柔軟性を計測し、自己評価することが可能。専用ページ にて、11月30日から提供開始するようだ。

 さらに、顧客別の要望に基づき、ITをシンプル化するための数ヵ年計画の作成を行う「ITのシンプル化アセスメントサービス」も試験的に導入していく。

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 会見のなかでデル会長は日本市場に触れ、「日本に進出して15年になるが、30億ドルのビジネスを行うまでに成長できた。外資系PCメーカーとして最高の地位を確立しており、デスクトップ/ノート/サービスのすべての事業領域が伸びている」と満足感をあらわした。

 また、「アジアには世界人口の60%が集中し、5億人のインターネットユーザーがいる。さらに10億人の潜在利用者がいるとされている。PC市場も20%アップで、世界で最も成長が速い」とアジア市場への期待を表明。

 そうしたなかで、コンシューマー向けには「デル製品をもっと買いやすくする必要がある」とデル会長。「今後4年間のインターネット利用者増を考えると、毎日50万人が初めてインターネットに接続する計算になる」が、その意味ではインターネット直販モデルだけではそれらのユーザー層にアプローチできない。このため、リテール市場をさらに重視していく考えだという。

 「ダイレクトモデルもまだまだ成長するが、もっと買いやすくするためには小売りも必要だ。日本、中国、韓国、インド、ロシア、ハンガリー、フランス、米国などリテール市場をさらに世界中で拡大していく。現時点でも1万店以上でデル製品を購入することが可能」とした。