インフォコムが創薬研究向けワークフロー製品「KNIME」を事業化

化学データベースなど一連の処理を自動化、ノード集を世界で販売

 2008.01.19−インフォコムは17日、創薬研究向けワークフロー型プラットホーム「KNIME」(ナイム)の商用利用契約を開発元の独ナイム社(マイケル・バーソルド代表)と結び、国内でビジネスを開始した。化合物データベースの処理や分子設計・解析など、複数のプログラムを連携させる一連の手順をワークフローとして構築し、自動的に実行させたり、再利用したりすることが可能。KNIME自体はオープンソースの無償ソフトであり、インフォコムはKNIME上で動作するプログラムを開発したり組み込んだりするサービスを事業化する。

 KNIMEは、独コンスタンツ大学で開発されたソフトで、プログラムの構成単位を“ノード”と呼び、このノードをディスプレイ上で結んでいくだけで“プロトコル”と呼ばれるワークフローをデザインすることができる。データ移行やデータ変換などの処理手順をノードとして組み込んでおくことにより、複数のプログラムをスムーズに連携させることができるようになる。

 こうした発想のツールは、米サイテジック(現アクセルリス)の「パイプラインパイロット」が先行例となっているほか、英インフォセンスの「KDE」などもあり、創薬研究分野において急速に利用が広がりつつある。今回のKNIMEも同種のツールととらえることができるが、オープンソースの統合開発環境である「エクリプス」をベースに構築されており、ナイム社が提供する100種類以上のノードも含めてすべて無償で利用できるという特徴がある。自分でノードを作成して公開する開発者も増えてきているという。

 インフォコムは、こうしたノードを有償で開発し販売することを含め、KNIMEのプラットホーム上でビジネスを行うことができる権利を獲得したもの。米国のコンピューターケミストリーシステム(CCS)ベンダーであるトライポスとシュレーディンガーも、すでに有償でKNIME用のノード集を開発して売り出している。

 インフォコムでは、KNIME関連事業の第1弾として、ハンガリーのケムアクソン社のケムインフォマティクス製品群をKNIMEに対応させるための「JChemエクステンション」を製品化する。インフォコムは、ケムアクソン社とVAR契約を結んでおり、開発したノードはインフォコム製品として2月から全世界で販売していく。