プロウスサイエンスが合併後初のジャパンフォーラムを開催

総合情報サービスIntegrityさらに強化へ、新たなイニシアチブをスタート

 2008.03.22−昨年9月にトムソンサイエンティフィックに買収されたプロウスサイエンスの毎年恒例のジャパンユーザーフォーラムが、2月26日(大阪)と28日(東京)に開催された。買収のあと初めてのフォーラムとあって、その内容が注目されたが、看板の製薬業向け統合情報サービスである「Integrity」(インテグリティ)を継続的に強化発展させる方向性が示された。すでに組織面での統合も進んでおり、さまざまな技術領域に対するそれぞれの強みを寄り合わせ、新たな事業展開にも取り組んでいくとした。

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 フォーラムの冒頭では、トムソンサイエンティフィックの社長兼CEOであるヴィン・キャラハー氏、合併後にトムソンサイエンティフィックの医薬・化学部門の副社長兼CSO(最高科学責任者)に就任したジョセフ・プロウス氏があいさつした。

 キャラハー氏は、「トムソンサイエンティフィックは製薬業の研究開発支援にフォーカスしており、プロウスがこの領域の技術ですでに高い評価を確立していることが今回の買収の大きなポイントになった」と説明。プロウス氏も、「われわれの持つ豊富なコンテンツが、この市場におけるトムソンサイエンティフィックの存在感をさらに高めることになるだろう」と述べた。

 Integrityは継続的な発展を図る予定で、「トムソンと一体化したことで、今後はさらに新製品開発に力を入れ、新しいビジネスも積極的に模索していきたい。業界や学界とのパートナーシップ、顧客との関係もますます強化していきたい」(プロウス氏)。Integrityは、創薬の領域から新薬の開発段階までを幅広く網羅した総合情報サービスだが、合併後の新たな取り組みとして、バイオマーカーに注目した新しいイニシアチブをスタートさせたという。この詳細は近くあらためて発表されるということだ。

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 現在、Integrityから利用できるコンテンツは、27万5,000件以上の化合物情報、68万5,000件以上の実験薬理データ、35万件以上の薬物動態データ、10万4,000件以上の特許情報、81万以上の文献情報、20クラスにわたる2,000以上のターゲット情報、治療に関係した7,600以上の遺伝子情報−など。昨年は、4回のバージョンアップが行われ、主要11項目の機能強化が実施された。

 とくに、昨年秋のリリース以降、3つの知識領域がリニューアルされた。1つは「バイオマーカー」。現在はがんに関するバイオマーカーが中心で、名称、分類、関与する生化学物質/プロセス、関連薬剤、機能/有用性、測定技術、開発状況、診断キット、有効性などの情報が含まれている。さらに、関連文献、毒性、臨床試験、特許、ゲノム/ターゲット、薬物と生化学物質−といった関連情報も付加される。

 また、2つ目と3つ目はこれまで一緒になっていたのを分割し、「ターゲット&パスウェイ」および「ゲノミクス」として整理しなおした。「ターゲット&パスウェイ」では、さまざまな切り口から生物学的パスウェイをビジュアルに理解することが可能。注目するポイントを変更すると、マップ表示もインラタクティブに切り替わるようになっている。新しい「ゲノミクス」は分子生物学的な視点を重視してつくられており、たん白質を遺伝子の機能としてとらえているなど、さらに理解しやすくなっているという。

 これらに加え、今年1月の最新リリースで「プレディクティブ・ファーマコロジー・モジュール」(PPM)が新機能として追加された。生理活性物質の作用効果を予測するソフトウエアで、15万化合物の活性情報と400種類の作用機序に関するデータをもとに、140種類のディスクリプターを用いて予測モデルをつくり上げたもの。Integrityのアドオンモジュールとして提供されており、利用するためには別途契約する必要がある。