SAPジャパンと日本ビジネスオブジェクツが買収後の事業戦略を発表

新ソリューション領域として成長を牽引、事業の独立性は維持

 2008.02.27−SAPジャパンと日本ビジネスオブジェクツは26日、昨年10月に独SAPが米ビジネスオブジェクツを買収したのを受け、国内での今後の戦略について記者説明会を開催した。買収後も、ビジネスオブジェクツは、SAPグループの単独の事業部門として独立して活動しているが、国内でも日本法人同士の統合は行わず、それぞれの独立性を維持する。ただ、ソリューションを相互補完することでSAP全体としての日本市場での成長性は大きく向上するという見方を示した。

 今回の合併について、SAPジャパンの八剱洋一郎社長は、「最近、SAPはソフトウエアのライセンス収入の拡大を重視している。そのためには新しいソリューション領域に取り組むことが必要。ネットウィーバーを中心としたエンタープライズSOA(サービス指向アーキテクチャー)/BPP(ビジネスプロセスプラットホーム)関連、そして中小企業向けソリューションの新規2分野が成長を牽引している。ただ、目標は2010年に新規分野を全売上の50%以上に高めることであり、これを達成するにはビジネスオブジェクツを買収し、ビジネスインテリジェンス(BI)市場に乗り出すことが必要だった」と説明した。

 独立性を保つことについては、「ビジネスオブジェクツのソフトはSAPと非常に相性が良いが、SAP以外のソフトとの相性もすばらしい。その強みをなくしたくない」と八剱社長。日本ビジネスオブジェクツの印藤公洋社長も、「当社の実績の40%はSAP系だが、60%はSAP以外の環境に対応したもの。その意味で、オラクルとも非常に良い関係だ。それはこれからも変わらないし、むしろ関係をますます強化したいと思っている。競合する一方で協業することは珍しくないし、パートナー戦略の面で心配はしていない」という。

 両社のシナジーに関しては、「SAPが得意とするERP(エンタープライズリソースプランニング)は、企業の過去の成績を正しく精密にレポートするもので、過去の軌跡やいまの立ち位置は明確になるが、それを踏まえて未来の戦略を策定する点では弱さがあった。今後は、ビジネスオブジェクツがERPの情報をもとに戦略立案をサポートし、その結果をERPで確認し、さらに戦略を修正するというかたちで、完全なサイクルを確立することが可能になる」(八剱社長)としている。

 両社長の説明では、基本的に両社のソリューションは相互補完の関係にあり、それぞれの製品をこれまで通りに発展させていく方針。互いの良いところを取り入れて機能強化を図り、重複している製品が明確になった場合には推奨製品への移行キットを用意し、ユーザーの投資を保護できるようにするという。