2008年春CCS特集:科学技術振興機構

5つの化学物質DBをリンク、再検索なしで広く情報収集

 2008.06.25−独立行政法人・科学技術振興機構(JST)が中心となって推進している「化学物質リンクセンター」がプロトタイプ版としてスタートして、1年が経過しようとしている。現在、5つのデータベース(DB)がこれに参加しているが、日を追うごとに利用も拡大。課題だったDB間の双方向リンクも今年から提供が開始されつつある。

 化学物質リンクセンターで利用できるのは、JSTの日本化学物質辞書「日化辞Web」、独立行政法人・産業技術総合研究所の有機化合物スペクトルDB「SDBS」、独立行政法人・物質・材料研究機構の高分子DB「PoLyInfo」、神奈川県環境科学センターの化学物質安全情報提供システム「Kis-net」、国立医薬品食品衛生研究所の既存化学物質毒性DB「JECDB」の5つ。

 化学物質リンクセンターには、日化辞Webから他の4DBへのリンクが張られており、目的の物質に関する物性、毒性、スペクトルなどの情報を検索し直すことなく他のDBから容易に集めることができるという最大の特徴がある。今年1月からは、Kis-netから他のDBへのリンクが実現され、日化辞Webとの間は完全な双方向リンクとなった。

 日化辞Webから他のDBへの遷移数は、平均して月間約1万件の実績があり、遷移先としてはKis-netとSDBSが多い。Kis-netから他のDBへの遷移数は、サービス開始から最初の2カ月間で約4,000件を記録したという。

 今後は、各DBの更新データ分に対してリンクを張るような効率的な接続方法を検討中。とくに、データ追加が活発なSDBSへのリンクを年内にも改善策していきたいとしている。

 また、昨年度末に利用者へ使い勝手や今後の期待などについてのアンケートを実施した。これらの率直な意見を参考に、さらにユーザビリティーを高めていく。