2008年春CCS特集:物質・材料研究機構

国内の材料DBを無償公開、情報の網羅性に高い評価

 2008.06.25−物質・材料研究機構(NIMS)は、ポータルサイト「MatNavi」(http://mits.nims.go.jp)を通して各種のデータベース(DB)を無償公開している。12種類の材料DBとそれらを活用するアプリケーションから構成されており、110ヵ国/1万300機関の3万6,000人(うち1万人弱が海外)がユーザー登録している。

 DB間の横断検索など、情報をみつけやすくするための工夫を凝らしているが、なかでも高分子DB「PoLyInfo」、結晶基礎DB「ポーリングファイル」、構造材料DB、拡散DBの4つは利用数が多く、MatNaviの看板となるサービス。

 とくにPoLyInfoは、14年間にわたって開発が続けられている世界でも最大級の高分子DBで、190のジャーナルを調査し、その学術文献から基本情報や物性データなどを収集したもの。その情報の網羅性が高く評価されている。最近では、利用者の間からDBを一括して購入したいという要望も出てきているが、同機構は商行為ができないという制約がある。ただ、DB事業は継続していくことが重要であり、長期的には開発費を自前で調達できる新たな体制を探っていくことになるかもしれない。

 さて、同機構では7月14〜18日を「NIMSウィーク」(http://www.nims.go.jp/nimsconf08/)と位置づけ、本拠地の茨城県つくば市においてコンファレンス、シンポジウム、エキジビジョンなどの各種イベントを計画している。17日と18日にはMatNaviを運営するデータベースステーションが主催の材料DBシンポジウム「MITS2008」(http://mits.nims.go.jp/mits2008.htm)が開催される。材料DBのプロジェクトマネジャー、開発者、運用管理者、利用者が一堂に会して意見交換する貴重な場になるので、奮って参加してほしいとのことだ。