クレイが初のインテル搭載Windowsスーパーコンピューター

モジュラー構造で自由な構成、オフィス環境で簡便な導入・運用管理

 2008.09.18−クレイ・ジャパン・インクは17日、クレイブランドのスーパーコンピューターとして初めてインテルプロセッサーを搭載し、OSにWindowsを採用した「CRAY CX1」を開発、販売開始すると発表した。デスクサイド型のコンパクトな本体にジーオンプロセッサーを最大16個(64コア)内蔵可能で、最大性能は0.76テラFLOPSに達する。通常のオフィス環境に設置でき、静音性も考慮されている。HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)市場の大衆化を達成するための戦略商品として、マイクロソフトと共同マーケティングを展開していく。来年1年間で200台以上の販売を目指す。

 CX1は、8台分のブレードを装着できるモジュラー構造で、CPUブレード(ジーオンのデュアルコアとクアッドコアの2種類、1台で1スロットを占有)、ストレージブレード(容量によって2スロット分と3スロット分を占有する2種類)、エヌビディアのハイエンドグラフィックスエンジンを搭載したグラフィックスブレード(1台で2スロットを占有)−を自由に組み合わせて構成できることが特徴。高速インターコネクト機構も内蔵されており、パッケージ化されたクラスターシステムとして、導入・運用・管理のすべてが簡便に行えるという。

 最大構成では、クアッドコアのCPUブレードを装着した場合、最大8ノード/64コアとなり、理論性能は0.76テラFLOPS。メモリーはノード当たり64ギガバイトまで搭載できる。内蔵ストレージ容量は、最大4テラバイトとなる。価格は、クアッドコアのCPUブレード2台、120ギガバイトのSATAディスク4台装備のストレージブレード1台(2スロット)の4ノード構成で、350万円からとなっている。

 100ボルト電源に対応しているほか、逆位相の音を発してファンの騒音を軽減するアクティブノイズキャンセラーを備えているなど、通常のオフィス環境での使用を考慮した。

 OSにWindowsHPCサーバー2008(今年の10月2日に製品発表予定)を採用していることとあいまって、科学技術計算以外の金融シミュレーションやデジタルコンテンツ作成などの新市場を開拓していく計画。販路は間接販売をメインとし、地方もカバーできるように2社と代理店契約を結ぶ予定である。

 OSには、レッドハットLinuxもサポートしているが、当面はマイクロソフトとの連携を軸に販売活動が行われるとみられる。

 なお、小型のスーパーコンピューターというカテゴリーの製品はかつていくつも先例があったが、いずれも市場として定着しなかった。この点に関し日本法人の中野守社長は、「当時のその種のマシンは1CPUとか2CPUくらいの構成で、性能も引き出しにくかった。いまは、アプリケーション側も並列処理への対応が進んでいるため、CX1の64コア構成なら十分な性能だと認識してもらえるはず。また、HPC市場自体が今後は部門クラスのマシンが大きく拡大するという予測もある。われわれとしては、成長市場に向けての戦略商品という位置づけをしている」と説明した。