マイクロソフトがインターネットエクスプローラー8の日本語ベータ2を提供

速い・便利・安心、大幅な機能強化を実現

 2008.09.03−マイクロソフトは、インターネットエクスプローラーの次期バージョン8(IE8)の日本語ベータ2を、8月28日から提供開始した。企業のIT管理者やウェブ開発者、先進ユーザーなどからのレスポンスを集め、正式版に反映させる。ウェブの標準規格に準拠するとともに、ブラウジング速度を大幅に向上させたことが特徴で、使い勝手を高めるための新機能を多数盛り込んだ。機能性に対する理解を深めてもらうため、これまでのベータ版では導入に関する質問しか受け付けなかったが、今回は使い方についての質問にも応じるという。正式版の提供時期はいまのところ未定。

 現行のIE7では、完全な標準準拠が難しく、個別に対応したサイト設計が必要な場合があったが、新しいIE8はW3C(ワールドワイドウェブコンソーシアム)の標準規格である“CSS2.1”に準拠(Acid2に合格)した。このため、基本的にIE専用のコンテンツを用意する必要はなくなったとしている。

 現在、IE7用のコンテンツを用意しているサイトは、IE8の“IE7標準モード”を利用することで、IE8ユーザーに対して正常なブラウジングを提供できる。具体的には、コンテンツ内にMETAタグで、またウェブサーバー側でHTTPヘッダーによる指定を1行追加するだけ。これらはコンテンツプロバイダー側での作業となるが、ユーザーがこうした指定が行われておらず、またCSS2.1準拠でもないウェブページをロードした場合、アドレスバーの横に“互換表示ボタン”が出現するので、それを押すとページがリロードされ、IE7と同じ表示結果が得られるようになる。

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 標準への準拠はIE8の基本であり、それを踏まえたうえでのIE8の特徴は、“速い”、“便利”、“安心”−の3つになるという。

 まず“速さ”だが、IE8はウェブページの読み込みに当たって、HTMLとスクリプト部分を別々に並行して解析するように変更された。このため、スクリプト処理をしながらHTML解析を行うといった具合に全体の処理が効率化された。また、スクリプト処理速度自体もIE7の5倍、IE6の7倍に高速化されており、快適なブラウジングが約束される。

 次に、“便利”な新機能としては、入力中の文字列をお気に入りや履歴からも検索して表示できる「アドレスバー」、閉じてしまったタブを再度開く「新しいタブ」機能、同じサイトから開いたタブを色分けしてわかりやすくする「タブグループ」などがある。また、検索ボックスも機能強化されており、検索ボタンを押さなくても入力中の文字列から検索候補文字列や検索結果候補を即座に表示できるようになった。この検索ボックスには複数のサーチエンジンを登録しておくことができ、簡単に切り替えられる。

 さらに、コンテンツプロバイダー側で対応が必要な新機能として、「アクセラレーター」と「ウェブスライス」がある。アクセラレーターは、ウェブページ内の文字列をキーワードにして、ページを移動することなくウェブアプリに接続させる機能。あらかじめページ内の特定のキーワードにこの機能を埋め込んでおくと、アクセラレーターアイコンが表示されるので、ユーザーはそれをクリックすることによって設定された機能を利用できる。例えば、会社概要などのページで住所にアクセラレーター機能を設定し、アイコンクリックで地図を表示させたりすることができる。実際には、XMLのオープンサーチを利用しており、いくつでも機能を埋め込むことが可能。

 ウェブスライスは、最新情報をチェックするのに便利な機能。ウェブページの中の更新頻度の高い最新情報が表示される領域を、あらかじめプロバイダー側で設定しておくと、その部分にウェブスライスアイコンが出現する。ユーザーがそこをクリックすると、ツールバーの「お気に入り」の隣にウェブスライス領域が登録される。以後は元のページを開かなくとも、ツールバーをクリックするだけでその更新情報を取り出すことができるようになる。

 “安心”に関する新機能には、危険性のあるページを警告する「スマートスクリーンフィルター」、クロスサイトスクリプティング攻撃による個人情報漏えいを防ぐ「XSSフィルター」、ブラウザー全体のクラッシュを防ぐ「自動クラッシュ復元」、プライバシーを守る「インプライベートブラウズ」−などがある。

 このうち、自動クラッシュ復元は、異常終了したタブだけを閉じて、他の開いているタブには影響を及ぼさないための機能である。IE7までは、ウェブメールを書きかけのときに他のページで異常終了が起きると、ブラウザー全体がクラッシュして書きかけのメールも失われてしまった。IE8からはそのようなことはなくなり、クラッシュしてしまったタブも自動的に開き直してくれる。

 インプライベートブラウズは、「新しいタブ」を開いて、「インプライベートブラウズの開始」をクリック、あるいは「セーフティー」メニューから「インプライベートブラウズ」を選択することで機能が有効になり、アドレスバーの横にそれを示すインジケーターが点灯する。このモードでのブラウジング中は、閲覧したページの履歴や一時ファイル、クッキーなどは一切記録されない。パソコンを共用しているときや借りて使用するときなどにプライバシーを守るのに役立つ。

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 IE8のベータ2は、以下のサイト(http://www.microsoft.com/japan/ie8/)からダウンロードできる。サポートの電話番号は、0120-80-5567。無償にてセットアップに関する質問と使い方に関する質問を受け付ける。

 同社では、ベータプログラムを展開しつつ、重要なウェブサイトのIE8対応を確保するとともに、閲覧数の多いウェブサイトに対してはこれまでに以上に積極的にマイクロソフト側から対応の呼びかけを行いたいという。また、アクセラレーターやウェブスライスなどの先進機能の採用を広げるように活動していくことにしている。