2008年冬CCS特集:インフォコム

創薬支援システムさらに強化、たん白質の並列計算に対応

 2008.12.04−インフォコムは、創薬支援のためのトータルソリューションとして豊富な実績を誇る米シュレーディンガー製品をメインにしながら、情報化学、データ分析・統計解析、バイオ系の発現解析・パスウェイ解析など、多彩な製品群を擁している。とくにユーザーサポートに力を入れており、主要製品では定期的なトレーニングコースを用意しているが、今後はオンサイトでの実施などさらにきめ細かい要望に応えていく方針だ。

 シュレーディンガー製品は、最新の2008年版が5月から10月にかけて順次リリースされ、ドッキングシミュレーションの定番となった「Glide」と「Prime」をはじめとするすべてのプログラムがバージョンアップされた。なかでも、新製品として登場した「Desmond」と「WaterMap」への関心が高い。

 Desmondは大規模並列計算に対応した高速分子動力学エンジンで、たん白質の折りたたみや物質の膜透過機構の解析など、時間のかかるシミュレーションで威力を発揮する。すでに数社が導入を決定したという。WaterMapの方は、たん白質とリガンドの結合部位の水和サイトの特定と水分子の各種エネルギーを計算して可視化する機能があり、リードオプティマイゼーションに有用だとして注目されている。

 一方、今年から同社は独コンスタンツ大学で開発されたオープンソースのワークフロープラットホーム「KNIME」をベースにしたソリューション事業に進出している。ハンガリーのケムアクソン社の情報化学系ツールをKNIMEに組み込むためのノード集(コンポーネント)を「JChemエクステンションズ」として独自に製品化したほか、シュレーディンガーから提供されているノード集もサポートしている。

 こうしたパッケージソフト主体の事業に加え、同社は主にバイオ分野で公的機関や企業との共同研究にも取り組んできている。例えば、国立がんセンターとのバイオマーカー実用化プロジェクトなどで一定の成果があがりつつあるという。