インフォコムがKNIME対応ノード集を無償提供

化学構造式の作図・可視化ツールを公開、KNIME普及を後押し

 2009.07.16−インフォコムは、フリーのワークフローツール「KINIME」(ナイム)上でケムインフォマティクス関連の化合物データ処理を自動化するための「JChem Extensions」(JChemエクステンションズ)を提供しているが、13日にその一部機能を「Marvin Family Nodes」として無償公開すると発表した。化学構造の作図ツールや分子グラフィックスを中心とするもので、化学研究分野におけるKNIMEの普及を一段と加速させることが目的。インフォコムはKNIMEをベースにしたシステム構築や受託開発を戦略市場に位置づけており、無償化によって需要を呼び込む狙いがある。

 KNIMEは独コンスタンツ大学で開発されたワークフローツール。“ノード”と呼ばれるプログラム部品を結び合わせることで、一連の処理手順を記述し自動化させることができる。インフォコムは、開発元の独ナイム社と商用利用契約を結び、ノード集の「JChem Extensions」を製品化している。

 「JChem Extensions」は、ハンガリーのケムアクソン社のケムインフォマティクスツールに対応したノード集。今回無償で提供される「Marvin Family Nodes」は、このノード集に含まれている化学構造描画ツール「Marvin Sketch」、構造を可視化する「Marvin View」、3次元のグラフィック表示を行う「Marvin Space」などの機能を無償公開したもの。

 KNIME向けにはフリーで利用できるノードが多数公開されており、そのなかには構造式の作図ツールもいくつか存在している。ただ、構造認識の精度やグラフィックの品質の面で製品レベルに達していないものがほとんど。その意味で、「Marvin Family Nodes」が製品版と同等の機能を提供することで、KNIMEがさらに普及することが期待できるという。

 普及を優先するため、「Marvin Family Nodes」の使用に当たってはケムアクソンのライセンスは不要となっている。入手方法はインフォコムのウェブサイト(http://www.infocom.co.jp/bio/develop/jchemextension.html)を参照されたい。