オートデスクが樹脂流動解析などCAEソリューション強化

Moldflow最新版でGPGPUに対応、解析時間半減へ

 2009.09.19−オートデスクは18日、CAEソリューションを強化し、構造・機構解析ソフトの新製品「Autodesk Algor Simulation 2010」と、樹脂流動解析ソフトの最新版「Autodesk Moldflow 2010 R2」を発売すると発表した。同社が強みとしている2次元/3次元CADに加え、CAE分野の製品を強化することでデジタル製品開発の幅広い領域を網羅していく。とくに、設計者自らが手軽にCAE解析を行えるようにすることで開発効率が大きく向上することを強調している。

 「Autodesk Algor Simulation 2010」は、今年1月に米オートデスクが買収したAlgor社が開発していた製品で、世界で2万ライセンス以上の導入実績がある。航空宇宙、自動車、プラントからコンシューマー製品まで幅広い業種のニーズに対応しており、構造解析と機構解析の強連成を通して、安全性が高く信頼性のある製品設計を実現できる。今回の最新版は、「Autodesk Inventor」をはじめとする各種3次元CADシステムとダイレクトに連携して、モデルデータを直接やり取りできるようになった。

 一方、「Autodesk Moldflow 2010 R2」も、Inventorのモデルを直接読み込み、すぐに樹脂流動解析が行えるようになった(他の3次元CADとはインターフェース経由)。とくに今回、GPU(グラフィックプロセッサー)を解析に使用する“GPGPU”方式に正式対応。日本ヒューレット・パッカード(日本HP)と共同で実施したベンチマークでは、GPU非使用時に比べて計算時間を49%削減、さらにCPUを8コア使用することにより、トータルで57.4%の計算時間短縮を達成したという。

 GPGPUは、エヌビディアの“CUDA”に対応しており、エヌビディア製グラフィックカードあるいはGPGPU専用カード「Tesla」を搭載しているマシンで利用できる。GPGPUは低コストでハイパフォーマンスコンピューティングを可能にする技術として注目されているが、市販アプリケーションでの対応はまだ少なく、今回のMoldflowの評価が注目されるところだ。

 なお、販売体制としては、CAEビジネスで実績のあるCAEソリューションズ、住商情報システム、電通国際情報サービスを起用。技術サポートも含め、パートナー戦略を中心として普及を進める。

 CAEソリューションズがAlgorを担当。Moldflowは住商情報システムと電通国際情報サービスが扱う。電通国際情報サービスは1983年からMoldflowを販売してきた実績がある。住商情報システムは新たに販売権を得たばかりだが、プレス成型や鋳造などの解析ソフトを扱ってきており、とくにMoldflowとの関係では独自の構造解析ソフトADVENTUREClusterとの連成解析などでユニークさを発揮したいとしている。