2009年冬CCS特集:サイバネットシステム

ものづくり支援で専門ソフト、ライフ・ナノ両面で機能強化

 2009.12.03−サイバネットシステムは、“ものづくり”を支援するさまざまなCAE(コンピューター支援エンジニアリング)技術を手掛ける専門ベンダー。CCS分野ではライフサイエンスとナノテクノロジーの2領域を両輪としてユニークな製品展開を行っている。

 ライフ系では、今回新製品として米サンセットモレキュラーの生物活性・薬物動態データベース「WOMBAT」を本格的に販売開始した。競合製品がほとんどないため一部では有名な製品で、もともとあるユーザーの要望で販売権を得たが、ここへきて評判がかなり高まっているという。年に2回データが更新され、最新の文献までカバーされる。

 一方、主力の加シムバイオシス製品では、欧米で実績豊富なドッキングソフト「eHiTS」に加え、de novo(デノボ)デザインツールの「SPROUT」にも力を入れる。最近関心が高まっているフラグメントベースドラッグデザイン(FBDD)に対応したためで、来年にはさらに機能強化も予定されているという。

 また、「ARChem」は反応経路探索のためのエキスパートシステム。市販の反応データベースだけでなく、社内にある反応情報からも逆合成ルールを抽出できるのが特徴。電子実験ノートに蓄積された情報を活用することが可能で、今後さらに注目を集めそう。

 文献をスキャンして構造式や反応式を認識しファイル変換する「CLiDE」も、来年にはバージョンアップが予想されるため、あらためて提案活動を強化していく。

 ナノテク系では、デンマークのクオンタムワイズ製品が11月に機能強化された。大規模な電気伝導計算を行うナノデバイスモデリングツールで、これまでの密度汎関数法(DFT)に加え、半経験的方法(拡張ヒュッケル法)がサポートされた。GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)の「Virtual NanoLab」から2種類の計算手法を選択できる。半経験的方法は実験に合わせたパラメーターを使用するため、バンドギャップの計算などでは実験をよく再現できるということだ。

 さらに、最新版では連続体近似によって誘電体・ゲート電極を記述する機能が追加され、現実的なナノスケール電界効果トランジスタのシミュレーションを行うことが可能になった。