CCS特集:富士通

解析系から情報系まで製品ラインアップ整備

 1992.05.17−富士通は、CCS製品体系をモデリングやシミュレーションを中心とした“解析系”と、データベースおよび情報検索が中心の“情報系”に分類、体系を整理した。解析系については、UNIXワークステーションのSファミリーをベースに製品ラインを一新させるともに、情報系については、パソコンと汎用コンピューターMシリーズとのクライアント/サーバー型のコンピューティング環境をもち込んだ。分子設計だけでなく、システムが情報系を含めて大規模化してくれば、日本最大のコンピューターメーカーとしての富士通のサポート力、エンジニアリングノウハウをフルに生かせることになる。

 情報系では、米国MDL社と共同開発した「ISIS」が昨年12月に発売された。これは、従来のMACCS、REACCSの機能を統合、さらに富士通製のリレーショナルデータベースRDBUを加え、クライアント/サーバー型のアーキテクチャーを導入したもの。化合物情報や反応情報だけでなく文献情報、実験データ、技術文書など新規物質の研究開発過程で発生するあらゆる情報を一元的に管理できる。ユーザーは、ウィンドウズやマッキントッシュなどのグラフィカルユーザーインターフェースを使って自由な形で情報を検索・利用することが可能だ。

 米国ではすでに業界標準としての地位を得つつあり、4月のACS(米国化学会)エキジビジョンでは、ISISとの統合が1つのテーマにもなっており、バイオシム、トライポス、モレキュラーシミュレーション、オートデスクなどの大手解析系システムベンダーが押し並べてISISとのインターフェース完成を発表、アピールしていた。

 さて解析系では、富士通はANCHORに代表された旧来のシステムをSファミリー上で完全リメイク。同時に、昨年から新製品を次々に投入してきた。今年もまた、EMILやCOMDEP、FROENS、BIORESERCHシリーズ、LATOX/Fなど多くのシステムが新しく出揃う予定である。

 なかでもEMILについては、開発者の藤田稔夫博士とコンサルタント契約を結ぶなど新しい展開がみられ、今後の成果が注目されるところだ。