富士通がバイオ研究支援ソフトを一挙に3種発売

UNIXオープン対応、既存製品も機能強化

 1992.06.03−富士通は、バイオ研究支援ソフト「BIORESEARCHシリーズ」(商品名)を大幅に拡充、新製品3種を一挙に新発売するとともに、現行製品2種についても機能強化を行い、6月から合わせて提供を開始する。今回、最新の日本語オープンウィンドウズ環境(米サンのSPARCステーションを中心にした業界標準のウィンドウズ環境)を完全にサポートすることによって、操作性向上と国際化対応を実現しており、将来的には米国での発売も予定されている。現在、シリーズには遺伝子の塩基配列の解析から、たん白質のアミノ酸配列の解析、たん白質立体構造の解析まで、バイオテクノロジーの研究を幅広く支援するソフトがそろっているが、同社では今夏から秋にかけてさらにシリーズを拡充・強化していく考えだ。

 富士通は、バイオ分野で国立遺伝学研究所や蛋白工学研究所、海洋バイオテクノロジー研究所、京都大学化学研究所、食品産業酵素機能変換技術研究組合などのプロジェクトに参加。それらから得た知見を生かし、ワークステーションのSファミリー(SPARCステーションのOEM製品)で動作するバイオ研究支援ソフトを「BIOERSEARCH」の名称で開発、商品化を進めてきている。

 今回、新発売されたのは「BIOERSEARCH/DB」「同/SQ」「同/3M」の3つ。同/DB(ソフト価格80万円)は、GenBankなどの巨大な配列データベースを自在に扱うための管理システムで、とくに強力な自由文検索機能をもっている。配列データベースは情報量が膨大なだけに検索モレが起こりやすいが、このシステムでは任意に設定したキーワードを文献の全文から検索してくるので、確実に欲しい情報をピックアップできる。また、「箱」や「囲い」などの模式図を用いて検索条件を視角的に設定できるため、複雑な検索でもわかりやすく操作することが可能。

 同/SQ(同40万円)は、配列情報に付加されている属性情報を読み出して表示するシステム。全体配列の中で各部分配列がどうなっているかを色分け表示することにより、重要部位などの分布が一目で理解できるようになっている。同/3M(80万円)は、PDBデータをもとに表示したたん白質立体構造に対し、アミノ酸置換によるポイントミューテーションを行うもの。複雑で高度なモデリング機能はもたないが、実験研究者にも使いやすいのが特徴。

 一方、現行製品のアラインメント専用配列エディター同/AE(40万円)、たん白質立体構造解析システム同/3D(180万円)についても操作性・機能性が大幅に強化された。