米MSI:サヴェッジ社長インタビュー

アカデミックとのネットワークが強み、合併で資金力強化

 1992.06.02−米国CCS(コンピューターケミストリーシステム)ベンダーの大手、モレキュラーシミュレーションズ社(MSI)のマイケル.J.サヴェッジ社長が、このほど本紙と会見、今後の事業戦略・製品戦略などを明らかにした。とくに、帝人と合弁で設立した対日拠点「帝人モレキュラーシミュレーション」について強調し、日本での活動を大幅に強化する方針を示した。会見要旨は以下の通り。

 1、当社は昨年8月に旧モレキュラーシミュレーションズ社と旧ポリジェン社が合併して新発足したが、この1−3月期から黒字化が実現できている。合併により資金力が強くなったため、無借金経営でやっている。1992年度についても明るい見通しを抱いている。

 1、技術・開発面では、幅広いアカデミックなネットワークをもっているのが強みだ。旧MSI系のカリフォルニア工科大学のゴダード教授および英国ケンブリッジ大学のウインドー教授、旧ポリジェン系ではハーバード大学のカープラス教授らはそれぞれの企業の創業者でもあり、現在も最先端の理論研究で当社のビジネスをバックアップしてくれている。

 1、欧米でのアカデミックなネットワークを日本へも広げたい。今年の3月に帝人と折半出資でジョイントベンチャー「帝人モレキュラーシミュレーション」(TMSI)を設立したが、ここを通じて、日本の大学や研究機関とコンタクトをとっていく考えだ。

 1、“STP”(ストラテジック・テクノロジー・パートナーシップ)と称する新戦略をスタートさせた。現在、帝人およびGEとこの契約を結んでいるが、将来的には8社ぐらいまで増やす計画だ。TMSIにはこの募集も担当してもらう。これは、当社とカリフォルニア工科大学およびメンバー企業との3者で協力し、メソッドオリエンテッドなソフトウエアツールの開発を進めようというもの。メンバーの興味の対象でテーマを決めて、個別に研究プロジェクトをスタートさせる。メンバーには当社の研究者が3年間はりついて、ゴダード教授との連絡を常に確保する形になる。メンバー同士の会議も年に2回開かれる。

 1、“ケミストリーバックプレーン”と呼ぶオブジェクト指向の環境に、旧2社の系列の現行製品を移行・統合していく。最終的な統合までは現行製品の販売・サポートを継続する。このプラットホームの上に現行製品を含む様々なアプリケーションがつくり込まれることになるが、その一環でTMSIとバイオ系のシステムを共同開発する。