ダイキン工業がバイオシム製品を販売

菱化システムとの提携でCCS製品ラインを補完

 1992.09.21−ダイキン工業は、菱化システムとの間で、米国の大手CCS(コンピューターケミストリーシステム)ベンダーであるバイオシム社の製品群の販売に関して基本合意に達し、きょう22日から本格的に営業活動を開始した。ダイキン工業は分子シミュレーション演算結果の可視化機能を中心にした分子設計支援システム「MOL-GRAPH」を開発、1987年に発売して以来、国内CCSベンダーとしてトップクラスの導入実績を築いている。しかし、バイオシム社がポリマーや触媒、電子材料分野などMOL-GRAPHを補完する領域で強みを発揮しているため、あえてバイオシム製品を自社の製品ラインに加えてCCS事業の発展を図ることにした。

 一方の菱化システムはバイオシム社の総代理店だが、今年から販売面でのてこ入れに躍起となっており、7月に物産アドバンストシステムを代理店に起用したのに続き、今回ダイキン工業とも手を組んだ。販売体制として、強力な布陣となりつつあり、今後の“バイオシム”グループの活動が注目される。

 ダイキン工業は、まだ菱化システムと正式調印していないが、9月初めから販売代理店としてテストセールスを行っており、すでに受注にも成功しているという。とくに、MOL-GRAPHで国内最大級のユーザーベースを有しているため、まずはここへ売り込んでいく。

 販売では、バイオシム社の全製品を扱うが、なかでも金属錯体や無機材料の解析に適した密度汎関数法に基づくab initioプログラム「DMol」、最先端の“クラス II 力場”を搭載した分子力学/動力学法プログラム「DISCOVER」を主力とする。将来的には、MOL-GRAPHにこれらの計算ソフトに対応した可視化機能を付加する計画である。初年度の販売目標は20システム。

 CCSは、他の科学技術計算分野と異なって基礎理論そのものが急速に発展中であり、各ソフトがそれぞれ適用領域で特徴をもっているため、汎用的なソフトが存在していない。広範な研究活動を行うユーザーは各種のソフトを使い分ける必要がある。ベンダー側からみると、1種類のソフトでソリューションを提供することは不可能であり、こうしたことからダイキン工業も他社製品の販売に踏み切ったものとみられる。