ケイ・ジー・ティーが米キューケムの分子軌道法ソフトを発売

最新アルゴリズム採用で大規模分子に対応、新薬開発・材料研究に貢献

 1998.03.18−ケイ・ジー・ティー(KGT、上田利隆社長)は、米国のコンピューターケミストリーシステム(CCS)ベンダーであるキューケム社(本社・ペンシルベニア州、ベニー・G・ジョンソン社長)と販売代理店契約を結び、超高速分子軌道法ソフトウエア「Q-Chem」(商品名)の国内販売を開始した。最新のアルゴリズム採用により、従来のソフトでは不可能だった実際的な大きな分子を計算できるのが特徴で、新薬開発や材料研究に役立つ。SGI、IBM、サン、DECのUNIXワークステーションで利用でき、ソフト価格は300万円(大学向け68万円、官公庁90万円)。初年度30本、次年度100本の販売を見込んでいる。

 分子軌道法は、分子の電子状態を計算する手法のため、電子の数の四乗に比例する大規模行列計算が発生し、原子数が100個を超えるような分子は計算が事実上困難になってしまうという問題がある。このため、実用的な分子の特性を調べるには、その分子の一部分だけを切り出して計算したり、精度を犠牲にした半経験的手法を導入したりする必要があった。

 「Q-Chem」は、フォック行列計算およびクーロン相互作用計算にONX法、QCTC法、CFMM法などの最新アルゴリズムを採用することで、計算量を電子の数の一乗にまで軽減することに成功。分子が大きくなっても計算効率が落ちないので、大きな分子を計算させるほど価値を発揮するシステムとなっている。

 開発者でもあるジョンソン社長は、分子軌道法ソフトの代名詞的存在である「GAUSSIAN」のDFT(密度汎関数法)部分を記述した人物として知られており、今回の「Q-Chem」でも代表的な計算手法はほとんどカバーしている。

 KGTがすでに販売権を持っている加ハイパーキューブ社の分子モデリングシステム「HyperChem」のグラフィック環境とインターフェースが実現されており、分子軌道や基準振動モードなどの計算結果を可視化することも可能。