英OMGがケミカルデザインを買収
コンビケム/HTS、ソフトウエア製品群を補完
1998.05.20−欧州のCCS(コンピューターケミストリーシステム)最大手、英オックスフォードモレキュラーグループ(OMG)が、同じく英国のCCSベンダーであるケミカルデザイン社(CDL)を買収した。買収は4月29日から開始され、2週間で完了した模様。OMGは18日(米カリフォルニア時間)にこの件を正式発表したが、19日のOMG株は7ドル上昇して218ドルとなった。CDLは、医薬品研究分野で最近注目されているコンビナトリアルケミストリー技術で成長していたベンダーで、一方のOMGはこの技術に関して専門のコンサルタント会社を設立するなどの活動を行っていたが、ライバルの米国ベンダー勢に比べてソフトウエア製品開発という意味では品揃えが遅れていたため、それを補完する狙いがあるとみられる。
OMGはM&Aによって急速に拡大してきたCCSベンダーで、これまでに9つのベンダーを吸収・合併してきている。今回のCDLはCCS業界では老舗の1社だが、最近ではウィンドウズ95/NT向けの統合CCS「Chem-X」で知られており、分子情報のデータベース管理やコンビナトリアルケミストリー/ハイスループットスクリーニング(HTS)分野を得意としている。世界で約700ライセンスの導入実績がある。
同社では、Chem-Xを製品ラインアップに加えて販売するほか、将来的には化学データベース管理システム「RS3(キューブ)」など一部の既存製品との統合も図っていく。
日本国内では、OMGの総代理店をソニー・テクトロニクスが務めている。しかし、CDL製品はすでに帝人システムテクノロジー(TST)が代理店として販売しており、Chem-Xは今後も引き続きTSTから供給され、国内のユーザーには当面は大きな影響はないと考えられる。