通産プロジェクト「高機能材料設計」が始動
名大・土井教授のもとで集中研究を開始
1998.09.09−世界に通用する国産コンピューターケミストリーシステム(CCS)開発を目指す通産省工業技術院の大学連携型産業科学技術研究開発制度による「高機能材料設計プラットホームの開発」プロジェクトがいよいよ本格的に始動した。プロジェクトリーダーを務める名古屋大学の土井正男教授のもとに参加企業などからの出向研究者16名が参集、研究拠点も確立され、設備の設置も完了した。プロジェクトでは、高分子材料の設計支援システム体系の確立を目指しており、欧米の後追いではない日本独自の国産CCSが初めて生まれる期待から関係各方面の注目を集めている。
今回のプロジェクトは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から化学技術戦略推進機構(JCII)が委託を受けて正式に実施することになった。期日は2002年3月までとなる。
集中研究拠点としては、名古屋大学の旧核融合研究所内に約300平方メートルのスペースが提供された。研究用に使用するコンピューター機材は、新期導入した日本DECのアルファサーバー8台、富士通のIAワークステーションFMV-PROシリーズ20台を中心に、マッキントッシュ、ゲートウェイ2000をはじめとする各種パソコン、SGIのオクテインワークステーションなどのほか、名古屋大学大型計算機センターのリソースも随時使用可能となっている。
フルタイムの研究員は旭化成工業、宇部興産、JSR、住友化学工業、東芝、日本ゼオン、日本総合研究所、日本ポリオレフィン、富士通、富士写真フイルム、三井化学、三菱化学からの14名に、JCIIからの2名、さらに名古屋大学から土井教授以下の3名が加わる。また、再委託先として山形大学、東京大学、東京工業大学、京都大学の研究グループが大学間連携として協力体制をとる。
具体的には、5つのワーキンググループ(WG)が組織されており、それぞれ粗視化分子動力学法WG(リーダー・滝本淳一氏、山形大学助教授)、動的平均場法WG(川勝年洋氏、名古屋大学助教授)、分散構造シミュレーション法WG(谷口貴志氏、名古屋大学)、検証研究WG(吉田元二氏、JCII)、プラットホームWG(田中康正氏、富士通)がスパイラル式に開発を進める。1−2年後には企業でテスト使用できるようなシステムをつくり上げていく予定。