富士通がWinMOPAC2.0で海外販売をスタート

欧米で代理店網確立

 1998.08.27−富士通は、パソコン版の分子軌道法ソフトウエア「WinMOPACバージョン2.0」(商品名)に関して、このほど欧米での販売チャンネルを確立し、本格的な海外ビジネスをスタートさせた。米国ボストンで開催中のアメリカ化学会(ACS)で明らかにしたもので、販売は北米地域を富士通システムビジネスオブアメリカ(FSBA)、欧州はFQSポーランドが担当。また、ワールドワイドの販売代理店として英シノプシス社と契約した。コンピューターケミストリーシステム(CCS)は、国内市場でもほとんどが海外製品で占められており、日本の製品が海外で販売されるケースはめずらしい。その意味からも、事業の行方が注目されるところ。

 WinMOPACは、ウィンドウズ95/98上で稼働し、半経験的分子軌道法プログラムMOPAC97の計算結果をもとに、分子の構造や物性などの有用な情報を得るためのツール。分子計算部分はウィンドウズNTサーバー上で動作させることもできる。価格は800ドルで、教育向けは半額。

 MOPAC97は、J.P.スチュワート博士が15年前から開発してきたMOPACシリーズの最新版で、富士通が93年ごろに版権を取得している。今回のWinMOPACバージョン2.0にはMOPAC97のソースコードも付属しているので、ウィンドウズ以外のプラットホームへの移植も容易になっている。

 今回の海外代理店のうち、FSBAは以前からMOPACシリーズのライセンス業務などを行っていた企業。FQSポーランドは富士通九州システムエンジニアリング(FQS)が今年の4月にCCS事業を主目的に設立した子会社である。一方、シノプシス社は英米を中心とする有力CCSベンダーの1社で、パソコンベースのソフトを手がけている。

 WinMOPACはバージョン1.0が昨年3月に発売され、国内だけで2,000本の販売実績をあげた。MOPACユーザーは全世界にいるため、海外市場には期待が大きい。