TSTが米シミュレーションズ・プラスと独占販売契約

消化器系での薬物吸収を予測

 1998.08.18−帝人システムテクノロジー(TST)は、新薬開発のためのコンピューターケミストリーシステム(CCS)製品のラインアップを強化し、新たに米シミュレーションズ・プラス社(本社・カリフォルニア州、ウォルト・ウォルツ社長)と代理店契約を締結し、薬物の消化器系での吸収を予測するソフトウエア「GastroPlus」(商品名)の独占販売を開始した。新薬開発の前臨床段階において薬物動態試験に役立てることができ、候補化合物を効率よくふるいにかけて開発をスピードアップするだけでなく、ムダな動物実験を減らすなどの効果をもたらす。ウィンドウズおよびNT上で利用でき、ソフトウエアの年間使用料は最初の1年間は700万円、2年目以降は500万円。初年度1億円の売り上げを見込んでいる。

 TSTは、コンビナトリアルケミストリーやハイスループットスクリーニング(HTS)など新薬開発のためのCCS製品群を多数揃えている。最近ではこれらのツールの登場によって基礎研究段階で候補化合物数が増加しているため、ユーザーの間ではそののちの薬物動態研究プロセスの効率化が大きな問題になりつつあるという。

 「GastroPlus」は、薬物を経口投与した場合の胃腸管における吸収や挙動をパソコンで予測するソフト。phによる吸収の変化も考慮でき、コントロールリリースの研究にも応用が可能。米国薬学会会長でもあるゴードン・アミドン教授の“ACAT理論”をプログラム化したもので、同教授が代表を務める「セラピューティック・システムズ・リサーチ・ラボラトリー(TSRL)」との独占契約に基づいて製品化された。

 米国でも4月に発売されたばかりだが、候補化合物の絞り込みや優先順位付が可能となることで高い評価を得ており、現在数10社で導入が検討されているという。

 シミュレーションズ・プラス社では、今回のソフトを生理試験のインビボ(生体内で)、インビトロ(ガラスの中で)に次ぐ、“インシリコ”(シリコン上で)での研究手法を提案する新しいソフトウエアツールと位置づけており、今後もTSRLなどと共同で物性予測や代謝予測など次々とシリーズ化を図っていく計画である。