CCS特集・計算化学関連

CRC総合研究所

 1999.03.20−CRC総合研究所は、分子軌道法(MO)を中心としたモデリングシステム「SPARTAN」のパソコン版の普及に力を入れる。米ウエーブファンクションの製品で、これまではUNIX版が基本だったが、このほど販売開始された最新版の「PC Spartan Pro」ではab-initio、半経験的手法、密度汎関数法などMO計算機能が大幅に強化され、UNIX版とほぼ同機能を提供できるようになった。欧米では大学などの教育市場で人気が高いソフトであり、国内でも浸透が期待されている。

 パソコン版SPARTANの最新版は、密度汎関数法が初めて利用できるようになったほか、ab-initioでも幅広い基底関数に対応させるなど、機能性が大幅に高まっている。安定配座探索やコンビケム対応のスプレッドシートなど、機能的にはUNIX版とほぼ同等となった。さらに、化学反応データベースを利用して遷移状態の構造を求めるなど、UNIX版を先取りした機能も盛り込まれている。

 SPARTANは各種の有機/無機化合物、有機金属化合物、核酸、ペプチド、固体などさまざまな物質を扱うことができるため、“化学”を教える教材としても最適。そこでCRC総研では、昨年から全国の大学が主催する公開セミナーとタイアップした形で、CCS利用化学教育のワークショップをはじめた。開発者であるウォーレン・J・ヒーリー社長(米カリフォルニア大学アーバイン校名誉教授)を招き、これまでに教育関係者を対象に大阪大学、東京都立大学、京都大学で開催、好評を博している。