富士通がMOPAC2000を開発
1万原子の分子軌道計算が可能に
1999.03.25−富士通は1999年3月25日、世界的に広く使われている分子軌道法(MO)ソフトウエアの最新版として、低分子化合物から1万原子からなる巨大分子までの電子状態をシミュレーションできる「MOPAC20000」(商品名)を開発、26日から国内および海外での提供を始めると発表した。MO計算は一般的には100原子ほどの系を計算するのが限界だといわれているが、今回の製品によりたん白質やポリマーなどの巨大分子を対象とした計算機実験に道を開いたことになる。ソフト価格はUNIX版が80万円、ウィンドウズ版が40万円で、2年間で1,000本の販売を見込んでいる。
MOPAC2000、J.P.スチュワート博士との共同開発によって富士通が製品化したソフトで、半経験的MO計算の代名詞的存在であるMOPAC97と、巨大分子対応型のMOZYME2.3、さらに富士通研究所が開発したMOS-Fの3種類の計算プログラムを統合したもの。既存のパソコン製品であるWinMOPACをグラフィック環境として利用できる。
スチュワート博士による“距離切り捨て型局在化分子軌道法”を導入したMOZYME機能がさらに強化され、たん白質/核酸、ポリマーなど1万原子におよぶ巨大分子の分子構造や電子状態を解析し、さまざまな物性を導き出すことが可能になった。また、MOS-Fは分子の励起状態を扱えるMO計算であり、スペクトルの予測が可能。
UNIX版は3つのプログラムのソースコードライセンス(120万円から)も提供されるほか、並列化バージョンも開発していく。プラットホームは富士通、サン、HP、コンパック・アルファなど。