帝人が米MSIとのCCS合弁を解消
TSTを軸にCCS事業戦略再編へ
1999.03.25−帝人は25日、米国のコンピューターケミストリーシステム(CCS)最大手であるモレキュラーシミュレーションズ(MSI)と折半出資で1992年に設立した帝人モレキュラーシミュレーション(TMSI)の株式を譲渡し、合弁を解消したことを明らかにした。今後は、情報事業子会社の帝人システムテクノロジー(TST)を中心にしてCCS事業戦略を再編成し、バイオインフォマティックス関連や創薬支援のシステムビジネスに力を入れていく。
米MSIは1998年1月にコンビナトリアルケミストリー技術のベンチャーである米ファーマコピアに買収されており、帝人はファーマコピアに対してTMSIに関するすべての権利を約1,000万ドルで譲渡した格好になる。現在、TSTはTMSIの代理店の一つとしてMSI製品を販売しているが、それも中止し、帝人グループとしてはMSI関連のビジネスから完全に手を引くことになった。
ただ、研究所内では引き続きMSI製品を使用するほか、MSI主催の技術コンソーシアムのメンバー活動は継続し、ユーザーとしての立場でのMSIとの技術交流は続けていく。
ファーマコピア側は、アジア地域での事業体制を強化したい意向があり、今回のことは米側からの申し入れだったとみられる。帝人としては、CCSビジネスを立ち上げるという当初の目的を達したことや、この間に実動部隊としてのTST内部に十分にノウハウ蓄積が行えたとの判断から株式譲渡に同意したようだ。
TSTのCCS事業においては、最近ではMSI以外の製品の取り扱いが拡大してその依存度は下がる方向にあったが、MSI関連がなくなることの影響は決して小さくない。新たな事業戦略が注目されるところだ。