CCS特集:遺伝子/バイオインフォマティクス関連
アドバンスドテクノロジーインスティテュート
2000.03.20−アドバンスドテクノロジーインスティテュート(ATI)は、バイオインフォマティクス分野に特化したユニークな独立系ベンダー。窪田綏代表取締役の京都大学(理学博士)時代からの長年の研究成果をもとに、インターネット経由で利用できる遺伝子/たん白質解析の総合ソフトウエア「GENIE」を開発・提供している。
ATIでは昨年、たん白質の立体構造解析のためのソフトウエアアルゴリズムで2件の特許を取得した。一つは、ホモロジーモデリング法によるα炭素原子の予測で、二つ目はその予測精度の検証のための計算法である。
類似のアミノ酸配列を持ち、その立体構造が分かっているたん白質を参照して、未知のたん白質の立体構造を予測する技術はすでにあるが、同社の手法は相同性が30%以下でも、かなり正確に予測できることが特徴。α炭素原子はたん白質の主鎖の要所に位置する原子で、その座標を特定することにより、たん白質全体の形態を把握することが可能。
しかも、そのα炭素原子の予測の精度を求めるプログラムも同時に確立できたことが重要だといえよう。現在、DNAの塩基配列を解き明かした先のいわゆるポストゲノムの領域が注目されつつあるが、遺伝子が発現して生成されたたん白質の立体構造が、最終的には生命現象を理解するカギになると考えられる。
しかしながら、たん白質の立体構造に関する情報はまだまだ少ないのが現状であり、参照たん白質の情報が豊富でない(相同性が低い参照たん白質しか見当たらない)なかでも立体構造を精度よく予測するATIの技術は、今後大きな注目を浴びる可能性がある。
同社では、さらに先進的なアルゴリズムを開発中であり、側鎖部分も含めてたん白質を構成する全原子の座標を予測する機能を、近くGENIEに組み込む予定という。