CCS特集:モデリング/ケムインフォマティクス関連

CRC総合研究所

 2000.03.20−CRC総合研究所は、米ウエーブファンクション社の分子軌道法ベースのモデリングシステム「SPARTAN」を教育市場に普及させることに力を入れている。1998年秋から、全国各地の大学を巡って教員向けのワークショップを継続的に開催してきた結果、最近になって導入熱が高まってきており、この4月以降は大学の授業で実際にSPARTANが活用される事例がみられることになりそうだ。

 SPARTANは、わかりやすいユーザーインターフェースを備え、分子力場法や非経験的分子軌道法、半経験的分子軌道法、密度汎関数法(DFT)などの各種計算化学的手法を用いて、分子構造の最適化や配座解析、化学反応の解析などが行えるシステム。電子状態が扱えるため、化学のエッセンスをビジュアル的に学生に伝えることができるという特徴がある。

 開発者である米カリフォルニア大学アーバイン校のウォーレン.J.ヒーリー名誉教授自身が、このシステムを教育現場で活用しており、そのための教科書も執筆している。

 CRCが実施しているワークショップでは、ヒーリー教授本人が来日して、有機化学をはじめとする化学教育の講義演習の中に分子モデリングをどう取り入れることができるのかを解説するため、毎回非常に好評を博しているという。ヒーリー著の「有機化学のための分子モデリングワークブック」の日本語訳も3月末には完成の予定で、大学向けの普及活動に一層弾みがつきそうだ。

 もともとUNIX版だったSPARTANも、最近ではすっかりウィンドウズなどのPC向けが中心であり、このことも導入がしやすくなった理由の一つ。夏ごろに出てくるバージョン6では、Linux版も登場の予定である。