富士通がネットラボラトリーを開設
バイオインフォマティクスのポータルサイトに
2000.01.27−富士通は、バイオインフォマティクス、ゲノム関連の研究者およびベンダーを支援するため、インターネット上のサービスサイトとして「netlaboratory.com」を1月31日から開設する。また、このオンラインサービスをフォローするオフライン拠点として幕張システムラボラトリ内に「ネットラボラトリー・フォア・バイオインフォマティクス」を設置した。研究やビジネスを活性化させる“場”を提供することを目的としており、2004年に100万人の会員を集める計画だ。
同社は1983年からコンピューターケミストリーシステム(CCS)事業を推進しているが、ここ数年は新薬開発を目的にしたライフサイエンス分野が市場の中心になっており、また遺伝子関連で多額の政府予算が投入されていることから、99年11月にそれまでの「コンピュータケミストリシステム部」を発展させて「ライフサイエンス推進室」を設立した。今回のサイトはこのビジネスの“ポータル”ともなるもの。
26日に開催された開設式であいさつした秋草直之社長は「われわれソフト産業にはバイオがわかる人材が少ないし、バイオ産業の方にはコンピューターに疎い人が多く、うまく噛み合うことが難しかったように思う。ただ、何か始めなければこの状況は変わらないわけで、今回はその仕掛けづくりを狙った。バイオインフォマティクスに関連するあらゆる情報や知識を集め、研究とビジネスにかかわる人々が集まっていくことで、将来に楽しみな知恵がいろいろと出てくると思う。このサイトを富士通のこの分野にかける意気込みと受け取ってもらいたい」と述べた。
「生命情報科学の新世紀」と題して記念講演を行った国立遺伝学研究所の五條堀孝教授は、「米のバイオベンチャーがすさまじい勢いでヒトゲノムを解明し、今さらどうなるという声もあるが、配列がわかってきたこれからが本当の勝負。ゲノム情報は膨大でまったく新しいものであり、生物学の世界でこれほどの情報が集まったことはかつてなかった。ゲノムの中から有用な情報をいかに早くみつけ出すか、本当の競争が始まる。日本もまだまだ間に合う」と檄を飛ばした。
さて、今回のサイト「http://www.netlaboratory.com/」は、無料の一般会員が利用できる「News」(バイオ研究関連の情報提供)、「Pub」(フォーラム)のほか、登録したパートナー会員(3ヵ月後をめどに有料化の予定)向けの「Club」(研究用ソフト・DB製品提供)、「Circle」(共同研究・ソフト開発などの技術支援)、「Campus」(ネットベースの教育・トレーニング)、「Rental」(計算機資源のレンタル提供)、「Actor」(DB検索・解析などの処理委託)、「Tailor」(ソフト開発委託)、「Trade」(eコマースでの研究関連製品の取り引き・販売)といったコンテンツを提供していく。
一方、これらオンラインサービスを補完する幕張の拠点は、実際にセミナーや教育トレーニングのコースを実施したり、研究発表会や共同研究の施設として利用したりするなど、多目的に用いられる。拠点内にはパソコンや大型プロジェクターなどが設置されているが、館林のアウトソーシングセンターから集中的に運用管理が行われており、設備は自由に利用できる。利用予約はサイトから受け付ける。