TST:医薬研究“In Silico”ソリューションを拡充

ADME物性予測で豊富なツールをラインアップ

 2000.06.27−帝人システムテクノロジー(TST)は、とくに医薬研究をターゲットとしたモデリング/シミュレーション技術を強化しており、そのソリューション製品群を急速に拡充している。コンピューターによる“イン・シリコ”での仮想実験環境の整備を進め、近い将来にはデータベース(DB)統合のケムインフォマティクス領域をもカバーしていく考えだ。

 TSTでは、新薬の候補化合物の重要な物性を予測する計算プログラムから化合物の分析を助けるデータ解析ツール、さらには医薬情報の提供および受託試験サービスまで、幅広いパッケージソフトとサービス商品を揃えている。

 とくに、最近ではADME(吸収・分布・代謝・排出)関連の物性予測に関心が集まっており、その基礎データを提供できるコンピュードラッグ(ハンガリー)社の「Pallasシリーズ」は、pKaやLogP、LogDなどの物性を推算するほか、HPLC分離予測、毒性予測、代謝予測などのソフトが揃っている。また、米シミュレーションズプラス社の薬物吸収予測「GastroPlus」、ヒトの膜透過係数を予測する「QMPR Plus」などの評価が高い。

 また、新たに九州工業大学の東條角治教授の監修のもとに開発された薬物の経皮吸収予測ソフト「SKIN-CAD」(開発・販売元=イーハイブ・コミュニケーション)がラインアップに加わった。新薬開発から経皮治療システムの開発まで、つまり研究から医療の領域まで幅広く活用可能。世界でも例をみない先進的なソフトで、海外での販売も計画している。

 さらには、実際の化合物のADME物性試験を行っている米アブソープションシステムズ社と提携して、受託分析サービスを提供している。とくに、胃腸などの人の消化管からの吸収しやすさをはかる基準となる膜透過試験“Caco2”で特徴を出しており、他のラボと比べて短期間で行えることで好評を得ているという。

 米シュレーディンガー社の分子モデリングソフト「Jaguar/MacroModel」も今春から最新版が提供されており、Linux対応で注目が集まっている。