富士通がネットラボラトリーの有料サービスを開始
ソフトダウンロード、IT技術相談など新メニュー
2000.09.14−富士通は、科学者・技術者向けのドットコムサービス「ネットラボラトリー・ドットコム」(http://www.netlaboratory.com)を強化し、18日から有料のプレミアム会員向けサービスを開始する。無料で提供している現在のサービスに加え、研究に役立つソフトのダウンロードやメールを使った技術相談など新しいサービスメニューを拡充していく。有料サービスを受けるためにはあらためてプレミアム会員として登録する必要があり、会費は月額1,050円。3年後に2万人、将来的に10万人の有料会員を見込んでいる。
ネットラボラトリーには「バイオインフォマティクス」、「マテリアル」、「CAE」(コンピューター支援エンジニアリング)、「HPC」(ハイパフォーマンスコンピューティング)の4つの研究室があるが、新しい有料サービスにはプレミアム会員専用の「クラブ」の部屋からアクセスできる。
新サービスの第1はソフトのダウンロードで、バイオインフォマティクス研究室のクラブの部屋からは富士通が以前に開発したバイオ研究ソフト「BIORESEARCH(
バイオリサーチ)シリーズ」をフリーで入手できる。まずは、分子進化学解析システム「BIORESEARCH/SINCA」と配列アラインメント処理システム「BIORESEARCH/AE」がダウンロード可能だが、今後もシリーズ製品を順次公開していく予定。これらはすべて、サンのUNIXワークステーション(ソラリス)版となる。
マテリアル研究室からは分子軌道法ソフト「WinMOPAC」、分子動力学法ソフト「WinMASPHYC」、分子構造作図ソフト「ChemFrontier」、分子モデリングソフト「Personal CAChe」の期間限定体験版をそれぞれダウンロードできる。各ソフトはウィンドウズで利用可能。
またCAE研究室からは、流体解析用ポストプロセッサー「Micro/Post」のLinux向けβ版を10月から提供する。これは、ウィンドウズ版の3次元流体解析システム「Micro/α−FLOW」の計算結果を可視化するためのソフトで、Linuxに移植が行われているもの。
2番目の新サービスは、専門分野別IT技術相談サービス。「計算化学ワンポイントレッスン」と「HPC相談室」の2つがあり、会員のメールでの質問に各分野のIT専門家が回答する。計算化学でこのようなサービスを提供するのは初めて。HPC相談室は、富士通のスーパーコンピューターや計算サーバーに関する性能改善、エラーメッセージ、プログラミング関連の質問を受け付ける。
新サービスの3番目は、オンラインデータベースサービスプロバイダーのジー・サーチとの接続で、約150種類のコンテンツを利用できる。ただ、こちらは別料金の従量課金となる。当面はジー・サーチの通常メニューと同じサービスとなるが、将来的には科学技術関係に特化した情報検索など、ネットラボラトリーからジー・サーチを利用する特徴を出せるようにしていく計画だ。
さらに、今後も引き続き有料サービスを追加していく予定で、計算化学入門などのインターネット教育サービス、オンラインでのハード/ソフトのトライアルユースサービス、知的情報検索サービス、特定のユーザーグループを対象にした専用会議室サービスなどの実施を検討中。
今回のプレミアム会員は自動的にジー・サーチの会員に登録され、会費の徴収や従量制で利用した料金の決済は、ジー・サーチが代行して行う形となる。クレジットカードのほか、企業向けの決済方法にも応じていく。
なお、プレミアム会員の入会金は3,150円だが、年内は入会金無料キャンペーン期間となる。