富士通がCCS利用技術で総合ソリューション体系確立
創薬支援、材料開発支援など5つのメニューを揃える
2000.09.06−富士通は、コンピューターケミストリーシステム(CCS)を中心とした創薬研究や材料開発などのソリューションサービスを体系化し、「@R&D VISION」(R&Dビジョン)の名称で提供を開始した。ソリューション製品の総合体系である“ソリューションビジョン”の新しいメニューの1つとして製品化したもので、同社が今年の6月から本格的にスタートした研究開発支援のためのドットコムサービス「netlaboratory.com」(http://www.netlaboratory.com)を下敷きにしたものとなっている。最適な研究環境を実現するためのコンサルティングサービス、パッケージソフト、専任要員によるサポートサービス、運用アウトソーシングにより、基礎研究から応用研究、製品化までの効率化を支援していく。今後3年間で150億円の売り上げを見込む。
@R&Dビジョンは、創薬研究ソリューション、材料開発ソリューション、解析ソリューション、HPCソリューション、研究情報管理ソリューション−の5つのソリューションから構成される。それぞれ、netlaboratory.comの4つの研究室(バイオインフォマティクス、マテリアル、CAE、HPC)に対応した内容となっている。
創薬研究ソリューションは、新薬のターゲット選定から化合物設計、合成、生物活性試験、化学構造最適化のプロセスにおいて、創薬のためのトータルソリューションをIT(情報技術)のサイドから提供しようというもの。
具体的には、全社レベルの化学情報管理システムの構築により、試薬購入の効率化や重複実験の防止を図ったり、ハイスループットスクリーニング(HTS)ロボットなどを用いた高速自動化システムの構築により、スクリーニング実験の飛躍的な高速化・大量処理化を実現したり、バイオインフォマティクスによる遺伝子やたん白質情報の大量収集と解析を通じ、遺伝子レベルでの疾病原因の解明による新薬創出を支援したりする。
パッケージソフトとしては、化学情報管理でChemOffice WebServer、RS3 Discovery、毒性予測のTOPKAT、構造活性相関のTSARなどを適用する。
材料開発ソリューションでは、分子動力学法WinMASPHYC、MASPHYC、分子軌道法のWinMOPAC、MOPAC2000、分子モデリングのCACheなどの各種の計算化学ソフトウエアを用いて、材料設計のためのシステムの企画・構築・運用を支援する。また、物性、化学反応、安全性など材料分野の専門データベース(DB)と連携した新材料情報探索システムの構築にも取り組む。
解析ソリューションは、線形構造解析POPLAS/FEM5、VOXELCON、非線形構造解析LS-DYNA、流体解析FUJITSU/α-FLOW、電磁波解析ACCUFIELD2000などを利用して、CAE解析システムの企画・構築・運用を一貫支援するもの。解析専門家だけでなく、設計者向けに上流工程でのCAE適用を推進させる。
HPCソリューションは、あらゆる研究開発分野において最適なハイパフォーマンスコンピューティング環境を提供するもので、ユーザーシステムに合わせたプログラム開発やチューニングサービスを実施する。
最後の研究情報管理ソリューションは、インターネットなども活用して広く有用な情報を収集蓄積し、膨大な情報を分析/可視化することを通じて、新たな研究テーマの発想を支援しようというもの。情報収集・検索のためのIntelligent Search、情報蓄積・管理のためのMeridio、情報分析・活用のためのSymfoWARE Text Mining Serverといった技術を適用する。