日立製作所が米モルソフトと独占販売契約

ホモロジーモデリングからバイオインフォマティクスまで

 2000.09.13−日立製作所・ライフサイエンス推進事業部は、米モルソフト社(本社・カリフォルニア州、マルガリータ・アバギャンCEO)と提携、ペプチド構造予測やたん白質のホモロジーモデリング、バイオインフォマティクス解析機能など、新薬開発のための総合支援システム「ICM」(インターナル・コーディネート・メカニクス)の国内における独占販売権を取得した。同時に、このシステムを有効活用するためのSI(システムインテグレーション)サービスも提供していく。ソフト価格は、フル機能の年間使用料金で400万円。年間約50本の販売を計画している。

 モルソフト社は、1994年にバイオソフト社として設立された企業で、1995年に現在の社名に改称した。生物学研究のための包括的なソフトウエア技術を提供しており、ノバルティスやスクリプス研究所などの医薬系の企業や研究機関に利用されている。

 今回のICMは、モルソフトの主力製品で、ICM-Lite、ICM-LitePlus、ICM-Main、ICM-Pro、ICM-ホモロジー、ICM-バイオインフォマティクス、ICM-REBEL、ICM-ドッキング、ICM-VLS、ICM-XPDBなど、用途に応じたパッケージに分かれている。

 エネルギー計算によってたん白質やペプチド、DNA、低分子などの分子の安定構造を求めることができ、それをリアルな3次元グラフィックやアニメーションで表示することが可能。ループのデータベース(DB)検索を利用した高速ホモロジーモデリングが行える。また、受容体たん白質と薬物分子とのドッキングシミュレーションが可能。連続的に変形するリガンドに対して、高速なグリッドポテンシャルを用いたドッキングスタディも可能になっている。

 さらに、バイオインフォマティクス機能は、数100万の塩基配列やアミノ酸配列を高速に比較解析できる。例えば、多数の部分配列のクラスタリング、アラインメント、コンセンサス配列の決定、正確な2つのアミノ酸配列のアラインメント、局所的な信頼性解析、立体構造の類似性・相同性評価、多数配列のアラインメント、ツリー構造、3Dクラスタリング、構造的アラインメントとホモロジー解析とのリンク、パターンサーチ、アミノ酸配列のプロサイト/プロファイル解析、たん白質の二次構造予測−などが行える。また、アノテーション付きたん白質構造DB「XPDB」を持っている。

 現在、最新版のバージョンは2.8で、動作環境はウィンドウズ95/98/NT、Linux、SGIおよびコンパック(アルファ)、サンとなっている。次期バージョン3.1の開発も進んでいる。