ネットサイエンスがWin版Gaussianグラフィックソフト

ONIOM簡単セットアップ、多彩な画像出力など

 2000.07.26−住商エレクトロニクスグループのサイネックスは、非経験的分子軌道法プログラムの定番であるGaussian98で利用できる専用グラフィックソフト「GaussViewW」を科学技術系ソフトのショッピングサイト「ネットサイエンス」(http://www.netscience.ne.jp)を通して発売した。ウィンドウズのグラフィック環境で対話的にGaussian98を起動することができ、計算結果をビジュアルに理解することが可能。米ガウシアン社の初のウィンドウズ対応純正グラフィックソフトであり、大きな反響が予想される。

 GaussViewWは、SGIのUNIXワークステーション専用として販売されているGaussViewをウィンドウズに完全移植したもの。計算対象の分子を画面上でモデリングし、計算パラメーターなどをコントロールパネルで設定して計算を実行させ、その結果をグラフィック表示するまでの一連の機能をウィンドウズ上で実現した。画面のデザインなどもSGI版に近づけてあり、いままでのユーザーも違和感なく操作できる。

 分子の組み立ては、原子、環、グループまたはアミノ酸などのテンプレートを利用して、マウスだけで簡単に組み立てることができる。PDBファイルからのインポートでは、自動的に水素を付加する機能もある。ボール&スティック、ワイヤーフレーム、チューブなど分子の表示もカスタマイズでき、3次元モデルを高速に回転させることも可能。

 計算のセットアップ機能では、コントロールパネルでGaussian98の主要な機能を引き出すことができる。とくに、モロクマ教授が開発して人気のあるONIOM法を簡単に設定できることが大きな特徴となっている。

 計算結果の表示は、分子の安定構造、分子軌道、振動アニメーション、アトミックチャージ、電子密度、静電ポテンシャル、NMRシールディング密度などに対応している。また、これらのグラフィックをPS/JPEG/TIFF/PNG/BMPなどの画像フォーマットで美しく出力できるため、論文や研究資料づくりにも活用しやすい。

 今回のGaussViewWは、UNIXサーバー上のGaussian98にネットワークで接続して利用することや、ウィンドウズ版のGaussian98Wと組み合わせることでパソコン単体で利用することも可能。ただし、ウィンドウズ版Gaussian98Wは最新のリビジョンA9(UNIX版と同機能を実現)が必要という。これによりGaussianの利用環境は、サーバーでUNIXとウィンドウズ、クライアントもSGI版とウィンドウズ版を用途に合わせて自由に組み合わせることができるようになった。

 なお、GaussViewWの動作環境は、ウィンドウズ95/98/NT4.0/2000。それぞれ、日本語版での動作確認済。ネット販売のため、価格はサイト上で確認してほしいという。

 国内には、Gaussian98対応のグラフィックソフトとして、NECが開発した「MolStudio」(モルスタジオ)があり、これもネットサイエンス経由で販売中。日本語のヘルプが充実していることや、価格が7万円と安いことが特徴になるようだ。