英OMGがCCS事業を米ファーマコピアに売却

ファーマコピアはCCS主要3分野の包括的な製品ラインを完成

 2000.08.11−欧州最大のコンピューターケミストリーシステム(CCS)ベンダーである英オックスフォードモレキュラーグループ(OMG)が、CCSのソフトウエア事業全体を米ファーマコピアに売却する方針を固めた。8月末までに主要株主の同意を得て、約2,700万ドルで売却する。OMGのソフトウエア部門の昨年の売り上げは約1,500万ドルだった。コンビナトリアルケミストリーを中心とする創薬ベンチャーであるファーマコピアは、1998年2月に米モレキュラーシミュレーション(MSI)、今年2月に英シノプシスと相次いで有力ベンダーを買収。今回、分子モデリング、ケムインフォマティクス、バイオインフォマティクスの主要3分野を完全にカバーすることになった。

 OMGは1989年6月に設立され、1993年から積極的な買収合併を繰り返して、90年代末には米国のMSIに迫る製品ラインアップを擁した欧州最大の総合CCSベンダーとなった企業。ところが今年になってから、かつて買収した事業からの撤退を進行させ始め、3月にモデリングソフトのCACheを富士通に売却、5月にケムインフォマティクスとモデリングのChem-Xの開発を中止、7月に受託研究部門をミレニアムファーマシューティカルに売却するなど、その真意が注目されていた。

 ファーマコピア側からみると、OMGのバイオインフォマティクス製品である旧ジェネティックコンピューターグループ(GCG、1997年4月買収)の「ウィスコンシンパッケージ」、ケムインフォマティクス製品である旧PSIインターナショナル(1996年3月買収)の「RS3」、さらに専門ノウハウを持つ120名のスタッフを取り込めたことが大きい。

 とくに、バイオインフォマティクス領域の製品群を持っていなかったため、今回の買収によってファーマコピアはCCSの全領域をカバーした最も包括的な製品ラインを擁した世界最大のベンダーとして、その地位を固めたことになる。今回買収したOMG製品は、旧MSIの主要部分で構成されるライフサイエンス事業部門に統合されることになる。

 国内では、OMG製品のほとんどを富士通が、バイオインフォマティクス製品については帝人システムテクノロジーと三井情報開発が販売している。一方、ファーマコピアのCCS製品群の総代理店は菱化システムが務めており、販売体制の調整は難しそうだ。