米サンがバイオインフォマティクス戦略を強化

ベンダー支援制度スタート、技術委員会の設置も

 2000.09.27−米サン・マイクロシステムズは、バイオインフォマティクス戦略を強化し、この分野のソフトベンダーやサービスプロバイダーのビジネスを支援する「サン・ディスカバリー・インフォマティクス・プログラム」をスタートさせた。同時に、バイオインフォマティクス領域の技術面でのブレーン役を務める外部の専門家からなる「サン・インフォマティクス・アドバイザリー・カウンシル」を組織した。サンは、とくに今年になってから各種のアライアンスを通してこの市場に対する戦略を段階的に強化してきているが、今回の支援制度と委員会の設立は、バイオインフォマティクス市場に対する長期的なコミットメントとして位置づけられよう。

 「サン・ディスカバリー・インフォマティクス・プログラム」は、サンのプラットホーム上でバイオインフォマティクス関連のソフトウエアおよびサービスを提供するベンダーのための支援制度。ソフトの移植や最適化、ベンチマークなどの技術サポート、さらにグローバルにマーケティング/セールス面でのサポートを受けることにより、同制度のメンバーはシステムの開発・普及のためのコストを削減できる利点を得るという。一部のモデル的なユーザーにもこの制度は適用されるようだ。サンにとっては、バイオインフォマティクスの有力なベンダーやプロバイダーを、サンのプラットホーム上に集めるという目的に寄与することになる。

 現在、同制度のメンバーになっているのはブラックストーンテクノロジーグループ、キュラジェン(CuraGen)、ダブルツイスト、ジェネティックスコンピューターグループ(GCG)、ジェオスパイザ(Geospiza)、インスティチュート・オブ・コンピューテーショナルジェノミックス(INCOGEN)、インフォマックス(InforMax)、ライオンバイオサイエンス、モレキュラーシミュレーションズ(MSI)、ロゼッタ(Rosetta)、シノミックス(Synomics)、タイムロジック−の12社。

 ブラックストーンテクノロジーは、インターネットのASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)で、とくにバイオインフォマティクス分野で実績があるわけではないようだが、新市場として進出を狙っている模様。キュラジェンはゲノム創薬企業で、人間や動物、植物の健康を約束するための統合ゲノム技術を持っているという。ダブルツイストは、バイオインフォマティクス専門のASP。

 GCGは、バイオインフォマティクスのための総合解析ツールを数多くそろえている企業。ジェオスパイザは、DNAシーケンシング研究のためのソフトウエアを提供している。INCOGENは、植物および動物ゲノム分野の複雑な問題解決に役立つソフトウエアソリューションに特化している。

 インフォマックスは、ゲノム専用大規模データマイニングのためのハイスループット研究環境を実現するソフトベンダー。ライオンバイオサイエンスは、ライフサイエンス研究のための総合プラットホームを擁しており、各種のデータベースを活用した創薬ソリューションを提供している。MSIは、分子モデリングとシミュレーションソフトウエアのリーダー企業である。

 ロゼッタは、ゲノム情報学に関連する受託研究、開発、コンサルティングを提供。シノミックスは、ライフサイエンス専門の統合フレームワークアーキテクチャーを開発しており、さまざまなデータベースやプログラム、ユーザーインターフェースを統一的な環境で活用するためのソリューションを用意している。タイムロジックは、バイオインフォマティクス解析のためのアクセラレーターシステムを開発・販売している。

 さて、このようなバイオインフォマティクス事業を推進するうえでのサンのブレーンとなる「サン・インフォマティクス・アドバイザリー・カウンシル」(IAC)は、この分野における世界中の学界および産業界の指導的な研究者から構成されている。ライフサイエンスの世界が直面するさまざまな将来的および技術的な問題の最先端に注目し、それを支援するためのハードウエア/ソフトウエア/サービスのあり方についてサンに助言をする役割を担う。