ヒューリンクスが技術系ソフト販売の「ワトソン君」を開設
300社を集めたショッピングモールを目指す
2000.08.14−ヒューリンクスは、科学技術系ソフトウエアをインターネットで販売するためのショッピングモール「ワトソン君」(http://www.watsonkun.com)を開設した。現在、国内のソフトベンダー/ディーラー30社の出店を集めてスタートしており、ソフトウエアは約1,200本が登録されている。ヒューリンクス自身もコンピューターケミストリーシステム(CCS)などの海外の技術系ソフトを長年販売しているが、今回はそうした特定のベンダー色をなくし、広く出店を働きかけている。年内には出店社を300社まで拡大して、国内の技術系ソフトベンダーをほぼ網羅し、技術者や科学者がソフトをオンライン購入する際の定番のサイトに育てていく考えだ。
ワトソン君は、ベンダーの垣根を越えて科学技術関係のソフトをすべて集めたいというコンセプトで企画された。基本的には出店してソフトを陳列してもらい、ワトソン君はソフトの売り上げのマージンで収入を得る仕組みである。
出店社には、1品目当たり1ページのスペースが提供され、基本のフォーマットを押さえたうえで自由に製品をPRすることができる。ソフトの値付けも出店社が行う。出店するのは無料で、ソフトの販売会社のほかにも、大学や企業内で開発されたプログラムの事業化の道として関心を示すところもあるという。
購入の仕方は、よくあるショッピングモールと同じ。欲しいソフトを選んでショッピングカートに乗せていくと、料金が自動的に集計される。支払いは、オンライン決済ではクレジットカードとインターネットのデビッドキャッシュ、オフライン決済では銀行振り込みやコンビニでの振り込みに対応している。また、企業ユーザーなどのために売り掛け処理にも応じている。
現在、商品は約1,200本(ライセンス形態で細分化されているので実際の商品数はもっと少ない)が登録されており、製品がわかっている時はその商品名で、またソフトのカテゴリーや価格帯、一般向けか教育機関向け、学生向けなどのユーザー種別で絞り込むことができる。
カテゴリーは、統計/データ解析(172本)、データマイニング(20本)、グラフ作成(154本)、数学(369本)、化学(321本)、医学/薬学(312本)、生化学(337本)、地球科学(28本)、工学(131本)、可視化/画像解析(15本)、CAD(48本)、シミュレーション(58本)、プレゼン・論文作成(88本)、開発環境(146本)、ネットワーク(73本)、OS関連(23本)、ユーティリティー(33本)、スケジュール(13本)、OCR(17本)、DTPツール(2本)、その他(17本)−といった形で分かれている。
その販売形態上、カスタマイズが必須なソフトやコンサルティングをともなうソフトは扱いにくい。ところが、科学技術系ではそのようなソフトは少なくないので、このあたりが課題になるといえそうだ。
また、ワトソン君には、ショッピング以外にも、技術系のフリーソフトやシェアウエアのダウンロードコーナー、科学系のリンク集、取り扱い製品のカタログダウンロードコーナー(PDF形式)、自由な意見交換が可能なBBSコーナーなどが用意されており、ユーザーが頻繁にチェックしたくなるようなコンテンツを揃えていく。今後は、科学雑誌の記事をオンラインで購読することや、科学的な味のある楽しいコラム、さらにオークションの実施など、今秋をめどに新たに5つほどのコーナーを追加する予定。
ワトソン君の利用は、会員制というわけではないが、購入時の発送先の確認などのために住所などを登録する必要がある。一度登録すれば、次からは再入力の手間がかからない。
ワトソン君と同様に技術者・科学者向けのソフトを扱うサイトとして、国内にはネットサイエンス(http://www.netscience.ne.jp)があるが、こちらは直接開発元からソフトを収集しており、出店社を集めた商店街を目指しているワトソン君とは違いがある。