NECが個人向総合サービスサイトを開設
きめ細かなワンツーワンマーケティング、PCウェブ直販も
2000.07.19−NECは、インターネットを利用して個人のパソコンユーザー向けの総合的なサービスを提供し、きめ細かなワン・ツー・ワン・マーケティングを実施することを狙いとした専用ウェブサイト「121ware.com」(http://121ware.com)を18日から開設した。同社は4月からパーソナル向け事業を「NECソリューションズカンパニー」の事業分野として集約化して展開する体制をとっており、その事業理念を“iSolution”の名称でまとめた。今回のサイトはそれを支えるサービス&サポート体系の基盤となるもので、個々のユーザーに特化したサービスを徹底的に掘り下げていく考え。また、この中で同社として初めてウェブ直販にも乗り出すことにしており、その成果が期待される。
「121ware.com」(ワン・ツー・ワン・ウェア・ドット・コム)は、NEC製品のユーザー以外でも利用は自由で、登録しなくてもほとんどのコンテンツを楽しめるが、無料のユーザー登録を行うと、サイトがそのユーザーにカスタマイズされた形に更新される。
登録したユーザープロファイルと、そのユーザーがサイト内でどこをどの順番でクリックしたかなどを追跡しており、リアルタイムにそのユーザーが好みそうな情報をリコメンデーションする機能を持っている。また、所有しているパソコン関連製品(NEC以外でもOK)を登録しておけば、その製品に特有のドライバー更新情報などを自動的に提示してくれる。
同社はこれまで、パソコン関連機器やサービスに関して15種類のサイトを持っていたが、そのすべてを「121ware.com」に統合した。“iSolition”では「あらゆる個人の活動を支えるインターネット社会と、個人とのインターフェースを提供する」ことを目標にしており、そのためのサービス&サポートを一元的に提供するのが今回のサイトの役割となる。
サイト内は、「コミュニケーションサービス」「アドバイザーサービス」「ショッピングサービス」「レスキューサービス」の4つのコーナーに分かれている。コミュニケーションコーナーの目玉はユーザーフォーラムで、「ビギナーズルーム」と「PCユーザーズフォーラム」に分かれて、自由に意見や情報を交換し合うことができる。フォーラムは登録ユーザーのみが参加可能。
また、「インターネットとデジタルワールドであなたのコミュニケーションはどう変わった?」などの特定の話題を扱ったウェブマガジン、またPC-9800シリーズの歴史を振り返る「NECパソコン博物館」などのコンテンツもある。昭和の時代からの98ユーザーにはたまらなくも懐かしい内容だ。
さらに、再新ゲームの体験版ダウンロードや、BIGLOBEのミュージックナビとリンクした最新CDランキングを楽しんだり、そのCDを購入したりすることも可能。
アドバイザーサービスのコーナーは、パソコンの活用法をやさしく学べるステップアップ情報やスクール情報などを紹介している。
レスキューサービスは、故障やトラブルで困った時のノウハウや情報を提供するコーナーで、よくある質問に対するFAQをまとめているほか、再新ドライバーのダウンロードも可能。
ショッピングサービス「121@store」のコーナーは、インターネット直販専用モデルの「バリュースター Gシリーズ」と「LaVie Gシリーズ」を購入できるほか、他社製品も含めた周辺装置やソフトなど、ワンストップ・ショッピングが可能となっている。主に中上級者を対象にしており、細かな構成の違いやパーツの選択によって、デスクトップで11機種/9,000種類、ノートで4機種/240種類のバリエーションを揃えている。BTO方式で工場から直送されるが、注文番号を利用して生産・配送・出荷状況などを24時間いつでも確認できるようにした。ウェブ直販モデルの納期は最短5日、平均7日になるという。
気になる価格だが、同じ構成の場合は店頭向け製品の実売価格と変わらない水準となるので、価格的なメリットはあまりないようだ。構成やパーツが自由に選べる点での付加価値を買うということになるだろう。
同社では、ウェブ直販を行いながらも、現在の販売店との関係も両立させる考えで、販売店がホームページを持っている場合は、そこから「121@store」にリンクできるようにしたり、販売店の店頭に専用端末を置いて、そこから「121@store」を利用できるようにしたりする。どちらの場合も販売店に手数料をバックすることで、これまでの関係を損なわないようにするという。
同社では、国内のパソコン販売全体の中に占めるウェブ直販の比率は0.5%弱と少なく、いまのところは増えるという傾向もみられないとしている。ただ、今回のサイトを通したワン・ツー・ワン・マーケティングの推進で、今年度はNEC全体の約1%に当たる3万台強が販売できると予想している。日本全体としても、2002年ごろには数%の比率に高まる可能性はあるという。
したがって、今回のサイトはいきなりの販売面での寄与や利益貢献を期待したものではなく、個々のユーザーとのきめ細かな信頼関係を築き、各ユーザーにベストマッチしたマーケティングを行う仕組みづくりを進めることが主眼といえそうだ。