TSTとインフォコムが来年1月に合併へ

モバイルインターネットなどeビジネス強化狙う

 2000.07.27−帝人システムテクノロジー(TST、本社・大阪市中央区、有馬市郎社長)と日商岩井グループのインフォコム(本社・東京都港区、沼惇社長)が2001年1月1日で合併することが決まった。それぞれの親会社である帝人とアイ・ティー・エックスの両社が基本合意したもの。合併後の新会社は、ウェブ対応のビジネスシステムとモバイルインターネットを組み合わせるなどのeビジネス分野をターゲットに事業活動を強化していく。社名は「インフォコム」となり、2001年3月期の決算をベースにして株式上場を目指す予定。

 新会社「インフォコム」は、帝人とアイ・ティー・エックスの折半出資となり、社長には現インフォコムの沼惇社長が就任する。ただ、役員構成は帝人側を厚くし、帝人の連結子会社として扱われる予定だ。本社は東京に置く。

 TSTは社員数373名で売り上げ124億円(2000年3月期)、インフォコムは301名で114億円と、ともに同じ規模のベンダー。IT(情報技術)の共通の技術基盤を持っているが、アプリケーション面ではTSTがビジネス分野の業務ソリューション開発や病院・地域医療などのメディカルアプリケーションに強いのに対し、インフォコムはモバイルインターネットのコンテンツ開発力に優れており、ASP(アプリケーションサービスプロバイダー)事業も手がけているなど、得意領域が異なっているため相互に補完し合って大規模にビジネスを展開できると判断している。

 例えば、モバイルを利用した医療情報システムなどの新しいアプリケーションに取り組んでいくという。

 ただ、両社はこれまで業務上の交流はまったくなかった。

 帝人は、今年の3月にアイ・ティー・エックスに150億円の出資(出資比率は6.8%)を行い、日商岩井に次ぐ第2位グループの株主となったあと、それぞれの100%出資子会社であるTSTとインフォコムを合併させる交渉を進めてきていた。帝人は本体の繊維、化成品、医薬事業に加えて、IT事業を重要視しているが、IT産業の競争が激化しているため、得意な技術領域を確立する一方で企業規模の拡大が必要だと考えた結果の決断だったとみられる。