マイクロソフトと日立ソフトがバーチャルカンパニー設立

ドットネット戦略のビジネス市場拡大を目指す

 2000.11.14−マイクロソフトと日立ソフトウェアエンジニアリングは、ウィンドウズ2000とマイクロソフト・ドットネット(Microsoft .NET)を企業ユーザーに浸透・普及させるための新戦略として、“オペレーション・アンブレラ”をスタートさせ、具体的なソリューションを提供するバーチャルカンパニーを両社で設立した。1億2,000万円ずつの資金を出し合い、大規模な案件を早期に獲得できる環境と体制・仕組みを構築した。さらに、eビジネスに焦点を絞ったソリューションセンターの新設、基幹業務システムの製品化など、包括的な提携となっており、今回の共同事業全体で初年度100億円の売り上げを見込んでいる。

 日立ソフトは、ウィンドウズNTとバックオフィス製品の普及を目指す「バックオフィス・コンピテンスセンター」(BOCC)を1997年に日本で初めて開設し、昨年11月からはマイクロソフトのコンサルティング本部との連携で共同システムインテグレーション(SI)事業を推進するなど、これまでもマイクロソフトと密接な関係にあった。この間、70数件の顧客のプロジェクトを遂行してきた実績があり、1,500名のマイクロソフト認定技術者(MCP)を擁し、約200名をマイクロソフト関連の事業に専任させるなどの体制をとってきている。マイクロソフトとしては、今回と同様のパートナー関係を他のベンダーと結ぶ予定はないという。

 “オペレーション・アンブレラ”は今回の包括的業務提携全体をカバーするコンセプトで、大規模案件を受注するためのバーチャルカンパニーの設立(マイクロソフトとして日本初)、eビジネスにフォーカスしたXビジネス・ソリューションセンターの設立(同日本初)、マイクロソフト社内の基幹業務システムを外販する「ITショーケース」(同世界初)などの具体的内容を含んでいる。

 バーチャルカンパニー(いまのところ特別な名称はない)に対しては、両社が1億2,000万円ずつの資金を供出。日立ソフトは、専任のプロジェクトマネジャー10人を新たに選出し、そのもとで20名ずつの開発部隊を展開するという200名体制を取る。この結果、マイクロソフト関連の共同事業体制は総計400名体制になるという。バーチャルカンパニーは、両社が共同でプロモーションなどを展開し、実際の案件に当たってはコンサルテーションをマイクロソフトが中心に担当し、システム構築や導入・サポートについては日立ソフトが主体となって行うことになる。基本的に収益は日立ソフトのものとなり、プロジェクト遂行中にマイクロソフト製品の発注という形でマイクロソフトに利益還元がなされるようだ。

 バーチャルカンパニーが提供するソリューションとしては、メインフレームやUNIXからウィンドウズ2000への移行、オラクルからSQLサーバーへの移行、ロータスノーツからエクスチェンジ2000への移行など、マイクロソフト・ドットネット製品へのマイグレーションソリューションがある。また、BizTalkサーバーを軸にしたB to Bマーケットプレースソリューション、携帯電話をインターネット端末として活用するセルラーフォンソリューション、マイクロソフトの社内システムを日立ソフトが汎用化して製品化する「ITショーケース」ソリューション、金融業向けのカスタマーリレーションシップマネジメント(CRM)ソリューション−を用意している。

 とくに、ITショーケースは、ウィンドウズ2000とSQLサーバー2000、SAPを組み合わせて動かしているマイクロソフトの全社的な基幹業務システムを、汎用的なテンプレートとして製品化するもの。来年4月に経費精算システム「MS Expense」をリリースするのに続き、購買の「MS Market」、インボイスシステム「MS Invoice」、受注管理の「MOET」、販売情報データウェアハウスの「MS Sales」、人事の「HeadTrax」などのラインアップを予定している。

 一方、Xビジネス・ソリューションセンターは、B to B、B to C、B to E(社員)などの電子商取引にフォーカスしたもので、両社が共同で資金を投入し、共同で運営する。eビジネスの提案と実証を行うための拠点で、来年1月に日立ソフトの東京・浜松町オフィス内に開設する。将来的には大阪にも設ける。年間1,000社に対して提案活動を行うことにしている。

 これにより、マイクロソフトと日立ソフトの共同事業によるバーチャルカンパニーの下に、拠点としては既存のBOCC(東京、大阪)、新設のXビジネスセンターが展開されるという形になる。