CTCLSが独ライオンのゲノム比較ツールを発売
創薬研究向け、遺伝子の機能など解析
2001.01.08−CTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)は、独ライオン・バイオサイエンス社のゲノム研究ツール「genomeSCOUT」(ゲノムスカウト)の国内販売を開始した。遺伝子全体の組織や機能に関する洞察を得るためのソフトウエアで、急速に拡大する遺伝子配列データのなかから、今後の研究の方向性を見定めるための重要な知識を抽出することができる。CTCLSは、バイオインフォマティクス事業でライオン製品を主力に位置付けており、ゲノム情報を創薬に利用しようという製薬会社を中心に拡販を目指す。初年度10サイトの販売を見込んでいる。
genomeSCOUTは、ゲノム間の相違を直接に比較解析するためのツール群。大量のデータセットのなかから固有種のみが持つ遺伝子あるいは異生物間で共通して持っている遺伝子を探索したり、遺伝子またはたん白質の機能予測、異生物間の代謝経路の比較、染色体上の遺伝子順序の解析と可視化、配列解析、さらにはグラフィカルなプレゼンテーション機能を利用して解析結果を検討したりすることができる。
現在のバージョンは、微生物や細菌などの原核生物の解析済みのゲノム情報を収録しており、主に抗生物質や工業用バクテリアの開発に利用することができる。耐性ウイルスの増加によって新しい抗生物質の早期開発に迫られている製薬会社、発酵などの食品製造プロセスを改善するために新しい工業用バクテリアを求めている食品会社などをターゲットに販売活動を展開していく。
多数のゲノム関連データベース(DB)を網羅したインデックスを作成し、横断的に情報検索を行う同社独自の「SRS」と組み合わせて利用することになる。また、年内にはヒトやマウスをはじめとする真核生物レベルにも対応範囲を拡大する予定で、これによりゲノム創薬の強力な支援ツールに発展することが可能だという。
ライオンでは、数100種類の関連DBをインハウスで統合する「bioSCOUT」(バイオスカウト)とDNAチップ解析ツール「arraySCOUT」(アレイスカウト)、そして今回の「genomeSCOUT」に続いて、“SCOUT”シリーズを拡張し、生物学的パスウェイ解析「パススカウト」やたん白質−たん白質相互作用解析「パイスカウト」、遺伝子多型(SNPs)解析「SNPスカウト」などのツールを順次製品化していく予定。
CTCLSでは、米プロテオーム社のプロテオームDBも提供している。生物が体内で生成する全たん白質のアミノ酸配列を収録したもの。こちらも既存の酵母、真菌、センチュウに続き、ヒト、マウス、ラットのDBを近く提供する予定になっており、同社では合わせて実用的な創薬研究支援システムとして広く採用を働きかけていく。