オリンパス光学と三井情報開発がバイオベンチャーを設立

生体分子コンピューティング技術の研究と受託解析サービス

 2001.01.24−オリンパス光学工業と三井情報開発は、生体分子コンピューティング技術を応用し、医療・ヘルスケア産業で求められる遺伝情報解析のための生体情報計測技術の開発と受託解析サービスを行うジョイントベンチャー「ノバスジーン」を3月1日に設立することで基本合意した。オリンパス光学工業の計測技術と三井情報開発のバイオインフォマティクス技術を統合し、当面はゲノム創薬や臨床医学研究などの分野に向けて、SNPs(一塩基多型)解析、発現プロファイル解析などのサービスを提供していく。2003年度に10億円、2005年度に60億円の売り上げを計画している。

 新会社の資本金は4億円で、出資比率はオリンパス光学が51%、三井情報開発が49%。本社は東京都八王子市久保山町2−3、社長には祖父尼(そふに)俊雄オリンパス光学工業基礎技術研究所ライフサイエンステクノロジーリサーチセンター所長が就任。3月1日から社員12名で事業を開始する。

 ノバスジーンは研究開発型バイオベンチャーで、生体分子コンピューティング技術の研究を行いながら、その成果を遺伝子受託解析サービスに結びつけて事業を展開していく。生体分子コンピューティングは、DNAなどの生体分子を演算素子として利用しようという技術で、生体分子が持つ物理化学的性質を使って論理演算のメカニズムを生体分子の反応系列として実現し、計算や計測を行う。既存の半導体技術と比べ、超並列処理と超大容量記憶が可能だという特徴があるほか、生体分子を入出力データとしてそのまま演算処理を行うことができるため、実際の細胞や組織に適用して遺伝子診断や発現プロファイル解析などを正確かつ高効率に実施することができるようになるという。

 具体的な事業内容としては、SNPs解析や発現プロファイル解析で必要な各種DNAプローブおよびプライマーDNAの設計サービス、蛍光相関分光法や生体分子コンピューティング技術によるSNPsタイピング技術の開発と解析サービス、生体分子コンピューティング技術に基づく発現プロファイル解析技術の開発と解析サービス(クラスター分析などのアレイインフォマティクスサービスを含む)などを行っていく。

 また、高度な研究機能を維持するために情報科学系、生物物理系、医学系、生物系などの研究者からなるサイエンティフィックアドバイザリーボードを組織する。現在のところ、情報科学系の東京大学大学院理学研究科萩谷昌巳教授と、生物物理系の東京大学大学院総合文化研究科陶山明助教授を同ボードメンバーに迎える予定。

 三井情報開発は、バイオインフォマティクス分野で実績豊富な大手ベンダーの1社だが、最近では事業領域を積極的に広げており、昨年10月には協和発酵と合弁で微生物ゲノムビジネスをターゲットにした「ザナジェン」を設立している。今回の合弁設立はそれに続くパートナー戦略の第2弾に当たる。