R&D支援システム特集:菱化システム
シミュレーションとインフォマティクスの融合目指す
2001.03.23−菱化システムは、米モレキュラーシミュレーションズ(MSI)や加ケミカルコンピューティンググループ(CCG)、米マテリアルデザイン(旧サイコ)などの多彩なソフトウエアを持つコンピューターケミストリーの大手ベンダー。分子モデリング/シミュレーションからバイオインフォマティクスまでのあらゆる領域を網羅しているが、今後はとくにシミュレーションとインフォマティクスの融合をテーマに、新しいR&D支援システムを提案していく考えだ。
最近は研究で大量のデータを扱うようになってきており、分子シミュレーションも計算精度を追求するだけでなく、スクリーニングのために計算のスループットをあげることを重視する傾向も目立ってきているという。例えば、ADME(吸収・分布・代謝・排出)/毒性などを予測し、候補化合物をふるい分ける手法に関心が集まっている。MSIでも6月にこの分野のソフトを投入するという。
また、CCGの「MOE」も大量のデータの扱いに長けている点がユーザーに高く評価されている。コンビナトリアルケミストリーで大量のフラグメントライブラリーを作成することや、プロテインデータバンク(PDB)の三次元構造が既知の全たん白質データ1,300件をパソコンのスプレッドシート上に一度に展開することなどを得意としており、PDBデータベースが無償添付されていることもあって好評を博している。
マテリアルデザインの「MedeA」は合金設計にコンビケム的な考え方を取り入れている。非金属無機結晶データを5万3,000件収録したICSD(Inorganic Crystal Structure Database)、4万3,000件以上の合金データを収めたCRYSTMET、有機・無機を合わせて23万件のデータを持つ結晶構造データベースNCD(NIST Crystal Database)の3つを統合的に扱うことができ、このデータを利用して例えばA群とB群の金属のあらゆる組み合わせを第一原理計算で自動的に網羅し、その合金の想定される物性を予測、相関図を作成して望ましい合金を探索するという機能を持つ。電磁気的特性や強度を予測できるので、実験を効率よく行うためのヒントが得られる。