コンパックがWeb用3Dコンテンツ制作システムを発売

三洋電機/マジックアワーと共同開発、実物をデジカメで取り込み3D化

 2001.01.18−コンパックコンピュータは、三洋電機およびマジックアワーと共同でインターネット用の三次元(3D)コンテンツを簡単に制作できるソリューションシステム「Compaq Creation Studio」(コンパック・クリエーションスタジオ)を開発した。ウェブ上に仮想展示室を設け、リアルな商品見本を披露したいといったニーズに簡単に応えることができる。必要なハードウエアや周辺機器、ソフトウエア群がトータルでセットになっており、価格は198万円。2月上旬から出荷を開始する。

 Compaq Creation Studioは、三洋電機が開発した3D画像制作システム「RealModelist」(リアルモデリスト)、3D編集加工ソフト「RealArtist」(リアルアーティスト)、マジックアワーが開発したウェブ向け3Dオーサリングソフト「PowerSketch/Real」(パワースケッチ・リアル)を、コンパックのIAワークステーション「Deskpro WS250」と組み合わせたソリューション製品。三洋電機とマジックアワーのシステムは今回の製品企画に合わせて新開発されたもので、単独で製品化する予定はないという。

 Compaq Creation Studioは、実際の商品などをデジタルカメラで取り込んで3D画像に変換し、それを仮想展示室に並べて、インターネットブラウザー上で簡単に閲覧することができるようにする。

 データ取り込みを行うのはRealModelistの機能である。実物を設置する専用回転台とデジタルカメラが添付されており、ユーザーは回転台の上に実対象物を乗せてシステムをスタートさせるだけ。最初に回転台にくっついた色見本を使って照明下における色補正を行ったあとは、すべて自動で処理が進む。カメラと回転台はシステムによって自動的にコントロールされ、10度刻み(5度刻みの設定も可能)で36枚の全周画像を撮影し、そこから3Dデータを生成する。

 このとき、対象物と回転台を一緒に撮影するのがミソで、あらかじめ設定された回転台とカメラとの位置情報を利用することにより、精確に対象物の三次元座標を取り込むことができる。そのあと、生成したボクセルデータをポリゴンに変換(デフォルトでは5,000ポリゴンで3Dオブジェクトを構成)、色情報を使ってポリゴンごとに着色し、3Dモデルをレンダリングする。ここまでは全自動で処理が行われる。

 次に、作成した3Dモデルを編集加工するのが、RealArtistとPowerSketch/Realだが、前者は一般向け、後者はウェブコンテンツ向けに特化した機能を持つ。とくに、PowerSketch/Realは300種類以上の仮想展示室テンプレートを持っており、好みのテンプレートを選んで、作成しておいた3Dオブジェクトをドラッグするだけで、ライティング効果を付加したリアルな展示空間を簡単につくり出すことが可能。もちろん、空間内の照明や壁などのテクスチャーも自由に変更が行える。

 完成した展示室をブラウザー上に表示するには専用のプラグインビューアーが必要だが、それはコンパックのサイト(http://www.compaq.co.jp/products/desktops/)から無償ダウンロードできる。ブラウザー上では展示室内を自由に動き回ったり、展示物を拡大・縮小したりすることが可能。ファイル形式は独自のもので、高度な圧縮機能により最大100分の1までデータ圧縮ができるので、低速なインターネット環境でもストレスなくブラウジングが行えるという。

 現在は、専用回転台に乗る範囲の小さな物体しか読み込めないが、将来的には人物や建物などの大きな対象物の取り込み、またPDAや携帯電話などでも3D表示ができるような技術開発に取り組んでいくとしている。

 なお、セットされているパソコン本体は、ペンティアム3(1GHz)、メモリー256MBを積んだウィンドウズ2000プロフェッショナル搭載機で、ハードディスクはUltra3 SCSIの18.2GB、グラフィックカードにOpenGL対応のELSA Gloria2を採用している。