メディアヴィジョンがCorelDRAW10グラフィックスイートを発売
Web対応機能を強化、コーレル社新戦略も公表
2001.02.15−メディアヴィジョン(本社・東京都千代田区、福田善康社長)は、カナダのコーレル社が開発したグラフィックソフトの最新版「CorelDRAW10」(コーレル・ドロー)日本語版を4月6日から発売する。ウェブパブリッシング機能を強化しており、共通のツールで出版・印刷物、ホームページ、PDFの3種類の出力を使い分けることができる。ウィンドウズ対応でソフト価格はフルスイートで8万8,000円。また、コーレル社は昨年までに大規模なリストラを実施しており、今後はグラフィック市場に経営資源を集中させていく方針を打ち出している。
CorelDRAW10は、クリエーターの創造的なイマジネーションを探求することを目的に開発された。とくにクリエーターの表現媒体が従来からの出版・印刷物に加え、インターネットのホームページやダウンロード可能なPDFファイルなどに多様化し、広がりをみせていることに対応。グラフィック作成のトータルソリューションとして、プロのクリエーターの生産性を飛躍的に向上させることを狙いとしている。
システム全体は、作画ソフトのCorelDRAW10、イメージ編集のCorelPHOTO-PAINT10、アニメーション作成のCorelR.A.V.E.から構成されるメインのアプリケーションと、各種のツール/ユーティリティー、クリップアート、写真データ、フォントなどから構成されている。
CorelDRAW10は、ページレイアウトとイラスト作成のためのソフトで、図形に対する変更やエフェクトをすぐに反映させるリアルタイムプレビュー機能、ページソート機能などを新たに備えたことで、作業性が大幅に向上した。Flash形式のサポートなど表現力豊かなホームページ作成が可能になったほか、PDFファイルへの書き出しも可能。クリエーターの多様な表現媒体に対応している。
CorelPHOTO-PAINT10もリアルタイムプレビュー機能を備えていて作業性が高い。ドロップシャドウなどのインラタクティブツールの強化、新しいぼかしツールや再編集可能なテキストツールなどが追加された。
CorelR.A.V.E.は今回から新開発されたソフトで、ベクターアニメーションの作成を簡単に行うことができる。CorelDRAWなどと統一した操作環境でウェブアニメーションをデザインし、ホームページに対応したムービーファイルとして出力することができる。ロールオーバー効果を使った演出やサウンドを盛り込むことも容易。
価格については、全機能を含めたCorelDRAW10 Graphics Suiteの通常価格が8万8,000円、アカデミック版が4万4,000円、店頭アップグレード版が3万8,000円。またDRAW10とPHOTO-PAINT10をそれぞれ含まないパッケージも用意されており、そちらの価格は通常版が4万8,000円、アカデミック版2万3,000円となっている。
なお、発表に当たって来日したアジアパシフィックディレクターのイライ・サリビ氏によると、コーレル社はリストラを経て新戦略を策定、“創造力の魂を輝かせる”を標語にしているという。ワープロソフトのワードパーフェクトは、以前にサポートしていた30言語を取りやめ、英語とカナディアンフランス語の2ヶ国語だけに絞ることになった。当然、日本語版もなくなることになる。コアの顧客である中小企業と法律家・政府、既存ユーザーにフォーカスし、それらのユーザーニーズを直ちに反映させてアップグレードを促すことによって事業を存続させる考え。
Linux分野では、ディストリビューション事業を売却(売却先はまだ決まっていない)し、アプリケーションに集中する。ワードパーフェクトとCorelDRAWのLinux版を継続的に開発していく。
最も力を入れるのはグラフィック事業で、売り上げを倍増で伸ばしていく計画。市場全体は30%成長を見込んでおり、同市場での地位を磐石なものとしていきたいという。
具体的には3段階の事業計画を温めており、第1段階の“Horizon1”では今後1年間でDRAW10へのアップグレードを促すことに全力をあげるとともに、クリエーターの支持の多いマッキントッシュ版(OS9およびOSX)DRAW10を夏に製品化する。同時に、CorelDRAWの垂直展開として特定市場向けソリューション製品の研究開発を進めていく。
“Horizon2”は1−2年のタームを想定しており、通常製品でのさらなるシェアアップに加え、特定市場向け製品を市場投入して、収益力をさらに高めていく。また、企業買収も検討する。
“Horizon3”は3−5年の中長期ビジョンで、このころからウェブを通じたソフトウエアのデリバリーに対応できるようにしていく。マイクロソフトの“.NET構想”など、現在のアプリケーションがウェブからダウンロードされるサービスで構成されるようになると考えられているためだ。